世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

2012年冬のボーナスはどうなる?

2012.11.15 THU

経済学ドリル


【問1】大企業の2012年冬のボーナス支給額は1人あたりいくら?
(注)(財)労務行政研究所の集計値(東証一部上場企業212社を対象)

(A)49万4581円
(B)69万4581円
(C)89万4581円

【問2】製造業で今冬のボーナスが最も大きく落ち込む業種は?
(注)(財)労務行政研究所の集計値(東証一部上場企業212社を対象)

(A)自動車
(B)鉄鋼
(C)電気機器

【解説】大企業の冬のボーナス(従業員1人あたりの支給額)は、リーマン・ショック後の09年に前年比13.1%減と過去最大の落ち込みを記録しましたが、その後は企業業績が回復していったことから、プラスの伸びで推移していました。しかし、今年の冬のボーナスは3年ぶりにマイナスの伸びになることが予想されています。民間調査機関の労務行政研究所が東証一部上場企業の妥結水準を調査したところ、今冬は全産業平均で従業員1人あたり69万4581円のボーナスが支給されることが分かりました。同一企業で昨年末の実績(70万2055円)と比べると7474円の減少、前年同期比で見ると1.1%のマイナスです。
業種別にボーナスの支給額を見ると、電気料金の値上げに踏み切った電力会社が、国民の理解を得るために痛みをともなう大幅なボーナスの削減を実行する予定です。また、円高や燃料など原材料費の高騰に見舞われた鉄鋼業も大幅なマイナスとなる見通しです。

[正解] 問1:B 問2:B


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)『新興国バブル崩壊のシナリオ』(中経出版)など多数

今冬も「ボーナスなし組」続出!?



大企業全体では、輸出の落ち込みなどを背景とした業績悪化の影響を受けて、今冬のボーナス支給額が3年ぶりのマイナスになる見込みです。しかし、業種別の動向を詳細に見ると、百貨店・コンビニエンスストア・スーパーといった商業部門では前年比4・9%増と、冬のボーナス支給額が比較的高い伸びになると見込まれています。
これは、昨年後半から今年前半頃までは消費が拡大傾向で推移し、消費関連産業の業績が上向いていたからです。なぜ日本の景気が低迷する中にあっても消費が拡大していたかといえば、2011年3月11日に発生した東日本大震災後の消費自粛の反動があったからだと考えられます。消費を抑制してきた人たちが、消費者心理が回復していく中で、高額品を中心に一気に消費をするようになったからでしょう。基本的に企業のボーナスの支給額は半年ぐらい前の企業の業績に応じて決まるので、商業部門で働く人たちの今冬のボーナスは半年前の消費拡大の影響を受けて増加するというわけです。
しかし、今年の夏場以降は、業績の低迷を受けて製造業を中心に雇用・所得環境が悪化しつつあり、製造業の冬のボーナスは大企業であってもマイナスになることが予想されています。中小・零細の製造業ではマイナス幅がさらに大きくなるとみられ、全体としてはボーナスをもらえないサラリーマンが増加するでしょう。リーマン・ショック直後にはサラリーマンの3人に1人がボーナスをもらえなかったといわれますが、今回も「ボーナスなし組」が続出するかもしれません。
こうした厳しいボーナス事情と、製造業を中心とする雇用環境の悪化を受け、今冬の家計消費はかなり抑制されると予想されます。その結果、商業部門では半年後の2013年夏のボーナスに下落圧力が強まる可能性が高いといえるでしょう。

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