「憲法改正」以外は適用外だとか

日本が「国民投票」させないワケ

2012.12.29 SAT

財政赤字にせよ年金問題にせよ、最近の政治は重要な問題の先送りばかり。いっそ国民投票で決めさせてもらえたら…なんて思うことはないだろうか?

でも、日本で国民投票が適用されるのは「憲法改正」のみ。少なくとも国政レベルでは、これ以外の案件で国民投票が実施されることはない。

では、海外ではどうか。例えばイタリアでは「租税・予算」「大赦・減刑」など特定の案件を除き、国民の信を問うことが可能。スイスに至っては「集団安全保障機構や超国家共同体への加盟」「憲法上根拠のない1年を超える効力を有する緊急立法」は、国民投票が“義務づけられている”そう。

最近の例では、イタリアで今年6月、「原発再開」の是非が問われ、約94%の反対で否決。05年にはフランスとオランダで、議会では圧倒的多数で承認された欧州憲法条約が国民投票で否決された。

なぜ日本でも、より積極的に国民投票を活用しないのだろう? 国民投票制に詳しい大東文化大学の井口秀作教授に聞いてみた。

「国民投票で民意に沿った政治に近づけることは可能になりますが、コストが膨大で、頻繁に行うのは難しい。また、多様な民意が賛成・反対に集約される過程は複雑で、仏蘭両国の例は条約の内容以前に、既存の政党政治への不満が爆発した結果だと見る向きもあります」

なるほど。“国民投票さえすれば民意による直接民主主義が実現する”という単純な話ではないと。

「とはいえ、民意と政治の乖離が大きい現状の日本では“代表民主制だから国民投票はダメ”という議論はもはや成り立たないでしょう。憲法以外の分野でも、導入を検討することには積極的であっていいと考えます」

確かに、もっと身近な問題にこそ直接意思表示をしたい人も多いはず。今のところ日本で「国民投票」が行われる気配はないけれど、一度くらいは投票してみたいものですね。
(橋川良寛/blueprint)

※この記事は2011年12月に取材・掲載した記事です


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