ドーピング的景気対策のツケは若者に…?

実は自動借金法? 特例公債法の罠

2013.01.17 THU


すでに予算は決まっているのに、それを賄うための特例公債法が成立せず、野田政権は執行停止を決断。与野党一歩も引かないチキンレースとなった 画像提供/読売新聞/アフロ
先の衆院選は自民党の大勝利に終わったが、解散直前に見逃せない法律が成立した。「複数年度の特例公債法」だ。これは2015年度まで、予算成立とセットで赤字国債発行を可能にするもの。この法律のどこが“見逃せない”のか? 一橋大学経済研究所准教授・小黒一正氏に伺った。

「本来、赤字国債は発行できないと財政法で決まっているんです。際限なく借金が増えかねませんから。どうしてもお金が足りない時だけ特別な法律を制定し、赤字国債発行を認めている。それが特例公債法です。ところがこの20年ほどは毎年のように施行され、“特例”が“恒例”になっています」

さらに今回の法律では、将来の借金まで先回りして認めるという。なぜそんなことに?

「予算執行の停滞を防ぐためです。予算案は、参院で否決されて両院協議会で交渉が決裂しても、30日経てば自動成立します。一方、特例公債法を含む通常の法案は、衆院で可決された後に参院で否決されると、再度、衆院で3分の2以上の賛成がなければ可決できません。つまり“ねじれ国会”だと、予算は成立しても、特例公債法は未成立という事態が続いてしまうのです」

近年、このズレを突き特例公債法が政争の具に使われてきた。だが、これは不毛と、昨年、複数年度の特例公債が考え出されたのだ。

「野田政権は特例公債法の成立が遅れたため、予算執行を抑制する事態となりました。複数年度にわたる特例公債法でそうした混乱は防げますが、財政規律がゆるんでしまう危険性があります」

折しも自民党が政権に復帰し、「赤字国債を発行してでも公共事業を増やすべき」との声が上がっている。そもそも日本の財政が悪化したのは、過去の自民党政権の放漫な財政運営によるもの。これ以上、借金のツケを若者世代にまわされないよう、今後の動きは僕らもしっかりチェックした方がよさそうだ。
(星野陽平)


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