世の中の「要するに」をクイズで学ぶ

アベノミクスで賃金は上がるの?

2013.03.07 THU

経済学ドリル


【問1】サラリーマンの平均年収は過去10年でどれだけ下がった?

(A)15万円
(B)45万円
(C)90万円
(注)2001年から2011年までの変化。


【問2】2013年度の賃上げを予定している企業の割合は?

(A)15%
(B)35%
(C)65%
(注)ロイターが2013年2月1日から2月18日にかけて実施した調査。この設問の回答企業数は244社。

【解説】サラリーマンの収入が毎年のようにアップしていたのは遠い昔の話。国税庁の調査によると、サラリーマンの平均年収がピークだったのは1997年(467万3000円)で、それ以降ずっと下落基調で推移しています。直近調査の2011年は前年比0.7%減の409万円でした。昨年の冬のボーナス支給額が大手企業でも前年比でマイナスになるなど、2012年もサラリーマンの収入を取り巻く環境は厳しかったと考えられます。
最近では、安倍政権が打ち出した「アベノミクス」の効果によって日本の景気が回復し、サラリーマンの給料も上向きに転じるのではないかといった期待が高まっています。しかしながら、企業へのアンケート調査の結果を見る限り、2013年度に賃上げを予定している企業は15%(「かなり引上げ」が1%、「少し引上げ」が14%)にとどまり、景気が良くなっても、サラリーマンの懐具合が良くなるのは、まだまだ先の話のようです。

[正解] 問1:B 問2:A


門倉貴史 かどくら・たかし 慶應義塾大学経済学部卒業後、金融機関のシンクタンクで主任研究員などを歴任。現在、BRICs経済研究所代表。専門は日米経済、BRICs経済、地下経済など。著書に、『ゼロ円ビジネスの罠』(光文社)『新興国バブル崩壊のシナリオ』(中経出版)など多数

アベノミクスでデフレから脱却できるのか?



巷では、アベノミクスによって「長年続いたデフレから脱却できるのではないか」という期待が高まっています。アベノミクスとは、強力な金融緩和政策と大規模な財政出動によって日本の景気を早期に回復させ、ひいてはデフレからの脱却を図ろうという政策です。
では、アベノミクスで本当に日本経済はデフレ脱却に成功するのでしょうか。今のデフレの大きな原因のひとつは、賃金の下落が続いていることです。企業は賃金を下げて人件費負担を軽減しているので、商品やサービスの値段も引き下げられるのです。
したがってデフレからの脱却は、サラリーマンの賃金が上がることによって初めて実現することになります。具体的には、企業の業績が回復→労働者の賃金が上昇→消費の拡大→物価の上昇という経路でデフレから脱却していくのです。
ただ、アベノミクスでできることは、企業業績の回復までです。アベノミクスの柱のひとつである金融緩和政策によって、外国為替市場では円安が進んでいるので、今後は輸出企業を中心に企業業績が改善することはほぼ確実な情勢です。しかし、企業業績の改善が働いている人たちの賃金アップにつながるかどうかは個別企業の労使交渉によるところが大きいといえます。
実は、06年・07年も企業業績は好調だったのですが、このときには賃金アップは実現しませんでしたし、デフレからの脱却もできませんでした。なぜかというと、多くの企業は、業績が良くなっても将来不況になったときに備えて内部留保を膨らませ、業績改善の成果を賃金には反映させなかったからです。ですから、今回デフレから脱却するには、企業業績の改善がはっきりしてきたところで、ボーナスなどで確実にその成果を労働者に還元していくよう、労働者の側が企業に訴えていくことが必要だと考えられます。

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト