現代社会の注目ワードとは…

第1回 日本に拡大する「貧困」問題とは?

2013.03.27 WED

現代社会の注目ワードとは…


2012年7月16日放送の「シリーズ 貧困拡大社会 貧困の現場を行く 茂木健一郎×湯浅誠」の1シーン。「毎回、テーマを設け、“貧困”を様々な角度から取り上げています」(寺西さん)

6人に1人が貧困!? もしも「貧困」に陥ったら…



2010年に行われた厚生労働省の調査によれば、貧困の程度を示す日本の相対的貧困率は16%。先進国の中で最低レベルと言えるこの数値が表す通り、「貧困に陥っている人が、すでに大勢います」と教えてくれたのは、NHK・Eテレで放送中の福祉情報番組『ハートネットTV』内で、「貧困」を継続取材しているチーフ・プロデューサー 寺西 浩太郎さん。

「なかには、事故による怪我で仕事ができなくなってしまった、離婚で家を失ったなど、ちょっとしたことがきっかけで突然ホームレスになってしまったという人たちもいました。“貧困”は、可視化しにくいのが大きな問題。たとえば、街を歩いている他人を見ても、見た目から明らかに貧しそうという人は、ほとんどいないように思いませんか? しかし、20代~50代の稼働年齢層でも貧困に陥る人は増えている。もはや今の日本では誰にでも起こりうる問題なのに、それが実感しづらいんです」

うーん、誰にとっても「貧困」問題は他人事ではないんですね。では、実際に貧困になってしまったら、どう対処したら良いのでしょうか?

「ボランティア団体の弁護士に相談したり、あるいは生活保護を受けるなどのサポートがあるものの、なかなか利用できない人も多いです。国民性の問題なのかもしれませんが、たとえば海外では、貧困を理由に国や施設の支援を受けることが当然の“権利”と考えられる一方、日本人はそれを“恥”と考えてしまいがち。周囲の目を気にしてしまうケースが多く見られます」

困ったときのサポートなのに、受けづらいというのは確かに問題…。

「周囲の目を気にして、孤立してしまうというのも問題です。生活保護を受けている人を取材しましたが、なかには一週間ぶりに人と話したというという人もいました。人と会うことを恐れて閉じこもってしまい、そのために生活保護から抜け出せないという悪循環に陥る人も多いです。生活保護を受けている人の自殺率は、そうでない人の2倍というデータもあります。貧困への偏見をなくし、もっとサポートを受けやすい体制を整えるなど、日本全体が貧困に対しての理解を深める必要があるのではないでしょうか」

番組スタート時から、貧困を取り上げ続けている『ハートネットTV』では、孤立しがちな生活保護受給者や、急激な広がりを見せている単身女性の貧困など、様々な角度から日本の貧困問題に取り組んでいるのだとか。番組と連動したポータルサイト『ハートネット』では、当事者の声が集まる「カキコミ板」や相談窓口の案内など、様々なコンテンツも用意されています。万が一、自分が貧困に陥った時にはどう対処すればいいのか。起こりうるリスクを回避するためにも、まずはこの国で、どんな貧困が起こっているのかを知っておいた方がいいのかもしれません。

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