現代社会の注目ワードとは…

第2回 当事者が語る「貧困」の現実とは?

2013.04.03 WED

現代社会の注目ワードとは…


日本に急速に広がる貧困を様々な角度から描く「シリーズ・貧困拡大社会」。2012年9月24日に放送した「行き場をなくした女性たち」では、生活費を稼ごうと風俗店で急増するシングルマザーや、歌舞伎町のホテルを転々としながら漂流する20代の女性など、女性の知られざる貧困の実態を描き、大きな反響を呼んだ

当事者の声から見えてくる「貧困」の問題



「貧困は、今や決して他人事ではなく、いつ自分の身に起きてもおかしくない問題です。誰もが生きやすい社会へと向かうためにも、1人1人が今起きている問題に、きちんと向き合うことが大切だと思っています」

そう語るのは、日本が抱える様々な社会問題を取り上げる福祉番組『ハートネットTV』で、「貧困」をテーマに継続取材をしているチーフ・プロデューサーの寺西浩太郎さん。20~30代に広がりつつある生活保護の受給者をルポした「若者に広がる生活保護」や、子どもを養うため、風俗店で働くようになったシングルマザーなど、深刻化する女性の貧困の実態を描いた「行き場をなくした女性たち」など様々な「貧困」の問題を番組内で掘り下げてきました。

「まずは当事者の気持ちや実情を知ることから番組作りを始めています。番組スタート時から、この問題に取り組んでいますが、その実情は人によって様々。ひと口に“貧困”といっても、そこに至るまでの経緯や理由などがそれぞれ違い、抱える問題も異なっています」

『ハートネットTV』では、番組と連動して、視聴者からの声を集めるNHK福祉ポータル「ハートネット」も展開中。放送のたびに、様々な反響の声が集まってくるのだとか。たとえば、「女性の貧困」をテーマに投稿を募集した際には、10万円以下の手取りしかないため、やむを得ず風俗で働くことを選んだシングルマザーから、厳しい生活状況の告白が寄せられたことも。

「様々なテーマを取り上げてきましたが、まだまだ私たちの知らない貧困の実情が、この社会にはたくさんあるのではないでしょうか。少しずつでも貧困の問題を可視化し、社会へ届けるのが、『ハートネットTV』の使命だと思っています」

確かに、貧困の実情といわれても、経済的な問題以外も想像できないような…。

「たとえば、日本では“自己責任”という意識が強く根付いているように思います。貧困問題を抱える人の中には、そんな状態に陥ってしまった自分を責め、心を病んでしまう例も少なくありません。“自己責任なのに、他人に頼るなんて”と、周囲から非難されることを恐れ、生活保護などの援助を受けられないという人も数多くいます。しかし、現代においては、たとえマジメに生きていても、誰もが突然直面する可能性がある貧困。単なる“自己責任”で片付けてしまうことなく、なぜ貧困に陥ってしまったのか、当事者の背景をきちんと捉え、社会全体の問題として共有し、考えていく必要があるように思います」

耳を傾けない限り、なかなか聞こえてこないのが、現代社会で問題を抱えている当事者の声。『ハートネットTV』では、そんな人たちのリアルを毎週発信しているとのこと。よりよい社会を作るためにも、まずは『ハートネットTV』で、日本社会が抱える問題のリアルと向き合ってみては?

「ハートネットTV」(NHKEテレ) 月曜日から木曜日 夜8:00~8:29

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