近隣トラブル、お金の貸し借りetc…

もめごと解決の切り札「ADR」とは

2013.04.09 TUE


ADRの主な流れ。金融機関と顧客とのトラブルを解決する金融ADR制度では、金融機関にADR機関の利用を義務付けている イラスト/藤田としお
春からの新生活に向けて、住まいを一新。部屋は快適だし大満足! と思いきや、どうしても気になる隣室の騒音。大家さんに相談したものの、状況は好転せず…。裁判なんて話になると手間がかかるし、金銭面でも負担が大きい。もっと手軽な解決法はないものだろうか?

「そういう争いごとには、ADR(裁判外紛争解決手続)が適しています。ADRは、身の回りのトラブルを第三者が介在して話し合いで解決する手段です。単なる話し合いとは違い、中立的な専門家が間に入る点が特徴。また、裁判は裁判官が強制力のある判決を下しますが、ADRは双方が納得できる合意を目指します。そのため、わだかまりが残りにくいのです」

こう教えてくれたのは、日本弁護士連合会ADRセンター委員長の渡部晃さん。ADRは手続きが簡単で、リーズナブルなのも特徴だという。

「まずはADRセンターの窓口で申し立てをします。このとき、申立人と相手方の間で事前に仲裁人の判断に従うと定めた『仲裁合意』があれば仲裁手続き、そうでなければ和解あっせん手続きに進みます。ただ、ほとんどの案件は和解あっせんですね。第三者は事件内容に合わせて弁護士や元裁判官が選ばれますが、当事者が候補者のなかから決めることもできます。その後、相手方に出席を呼びかけて話し合いの期日を決定。通常、申し立てから1~2週間で最初の話し合いが行われます。平均で3回ほど会合が開かれ、解決までの日数は約3カ月です」(渡部さん)

和解あっせんで相手方が申し立て時に出席しなかったり(仲裁の場合は事前合意があるため相手方欠席でも手続きは進められる)、話し合いが行われても物別れになったりした場合は不成立となる。

費用は、申し立て手数料(1万500円)+期日手数料(5250円)+成立手数料。成立手数料は紛争解決額で変動し(125万円未満の場合は8%)、申立人と相手方の双方で負担する(負担割合は担当した第三者が定める)。

「もし騒音問題を裁判で解決しようとしたら、弁護士費用は最低でも10万円はかかりますし、騒音で被害を受けているという物的証拠を提出する必要があります。かなりハードルが高いですよね。こういった近隣トラブルのほか、お金の貸し借りや交通事故、労働問題など、民事上の様々なもめごとも扱っています。いきなり裁判を考えるのではなく、ADRを活用するのは賢明な選択肢の1つでしょう」

『仲裁統計年報(2011年度版)』によれば、全国のADRセンターで解決に至った493件のうち489件が和解で成立している。身近なトラブルの手軽な解決手段として、ぜひ覚えておきたい。
(南澤悠佳/ノオト)

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