津田大介「選挙以外にも政治参加の形はあるはず」

[対談]乙武洋匡×津田大介(3)

2013.06.21 FRI

乙武洋匡の「自問多答」


「ネット選挙の解禁により、様々な情報が得やすくなる。これが若年層の政治への関心を高めることにつながれば理想的」(乙武)

津田大介「選挙以外にも政治参加の形はあるはず」



乙武: ネット選挙の解禁は、政治家にとっても看過できないポイントですよね。世代によってネットリテラシーにも差があるでしょうし。この動きは、今後の選挙戦においてどんな影響を与えることになるんでしょう?

津田: 短期的にはたいして変わらないだろうと僕は思っているんです。というのも、世代別の投票率を見るとやっぱり若年層が低くて高齢層が高いのが現状ですから、しばらくネットの影響は表出しにくいだろうなと。参院選の全国比例区であれば、全国的な知名度を持っている候補者が有利でしょうから、それなりに影響があるのかもしれませんけど。

乙武: そういえば、2012年の衆院選では各党の政策と有権者の考えをマッチングするネット上のサービス、いわゆる「ボートマッチ」サイトが多数作られ、TwitterやFacebookなどのSNSでもかなり広まったように感じます。こうしたサイトも、有権者を投票に向かわせる効果が期待されるように思うのですが。

津田: 実際には与野党で有利不利があるんですけどね。やはり与党は現実的な政策を出さざるを得ないですから、野党が出す政策の方がどうしても有権者の支持を得やすい側面があります。

乙武: なるほど。ただ、ボートマッチサイトを見ていて、様々な気づきが得られたのも事実なんですよ。たとえば「年金の一元化」が是か非かなんて、そこで提示されるまで、しっかりと自分で考えてみる機会がなかったという人も多いと思うんです。その意味では、津田さんが昨年立ち上げられた国民投票サイト「ゼゼヒヒ」も、とても有意義な試みですよね。

津田: 人はなかなか自分からは考えられないものだけど、選択肢を与えられたうえで理由も問われると、それなりにちゃんと考えるじゃないですか? だから「ゼゼヒヒ」では、あえて「どちらでもない」という選択肢を排除しているんです。もし“条件付きだけど賛成”という立場なら、その条件について意見を書いてもらおう、と。そこから出てくる論点を可視化できるサービスにしたかったんです。
津田さんが主宰する国民投票サイト「ゼゼヒヒ」(http://zzhh.jp/)。「投票結果を見せようというより、そこで生まれる論点を可視化したかった」という目的でスタートした
乙武: 多くの社会問題は、「こちらから見ればこうだし、こちらから見ればこう。難しいところだよね」と結論が曖昧なまま放置されているものが本当に多い。だから「ゼゼヒヒ」のように、「難しいところだけど、自分としてはこっち」と、あえて結論を出させているところに意味があると思うんです。それに、ほかの人の様々な意見を読むことで、自分の考えが深まったり、さらには揺さぶられたりする。

津田: テーマによっては、同じ「賛成」であっても180度違う意見だってあるはず。そういった多様な視点を浮き彫りにして、それが政治家の目に留まるようなことがあれば理想的です。いわば、ネット上の意見の上澄みというか、“いい部分”をすくい取ることができればと思って立ち上げました。

乙武: 「ゼゼヒヒ」が素晴らしいのは、政策論争など堅苦しいテーマばかりじゃなくて、たとえば「『きのこの山』『たけのこの里』あなたはどっち派?」みたいな柔らかい設問も並んでいる点(笑)。これはうまいですよね。こういう試みから政治や社会問題に興味を持つ人が増えていき、結果として若年層の投票率アップにつながるとしたら、本当に素晴らしいことだと思うんです。

津田: そうですよね。そして一方では、選挙で投票することだけが政治参加ではないとも思うんですよ。それがインターネット上のことであっても、政治や政策について意見したり疑問を投げかけたりすることもまた、政治参加のひとつの形だと思います。そういった意見がもっと政治家に伝わる機会が増えるといいですね。

(構成:友清 哲)


【今回の対談相手】
津田大介さん
1973年、東京都生まれ。早稲田大学・社会科学部卒。IT系のライターとして文筆活動をはじめ、現在はジャーナリストとして多方面で活躍中。メディアプロデューサー、メディア・アクティビストとしての顔も持つ。2012年末には様々な問題の是非についてネット上で投票を募る「ゼゼヒヒ」をオープンした

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