乙武洋匡の「自問多答」

[対談]乙武洋匡×高木新平(1)

2013.09.06 FRI

乙武洋匡の「自問多答」


撮影/後藤 渉

高木新平「街にコミュニティがないなら、家を公共化すればいい」



コミュニティ…などというと少し堅苦しいけれど、人と人の“つながり方”は時代や環境に合わせて変わっていくもの。ましてSNS全盛の昨今、R25世代にとって本当に心地よく、有機的な結びつきって何だろう? そんなテーマを議論するべく、今回は実験的なシェアハウス「よるヒルズ」などの立ち上げで注目される高木新平氏を直撃した。

乙武: 高木君が六本木でやっていた「トーキョーよるヒルズ」は、新しい形のコミュニティが模索されているこの時代において、とても面白い取り組みだったよね。

高木: もともとは、会社を辞めてお金のない若者が寄り集まって暮らそうという発想で始めたのですが、六本木という場所柄、「昼夜逆転」をコンセプトに、夜中もリビングを開放して誰でも来ていい場所にしたら、予想外に面白いことが起こり始めたんです。

乙武: 実際、どのくらい人の出入りがあったの?

高木: 年間で延べ2000人くらい来ました。そのうち自然に様々なイベントが催されるようになり、さらにそこで出会った仲間と起業するやつまで現れて…。これはもう、“家”という場にどれだけ公共性を持たせられるかという社会実験でした(笑)。

乙武: 高木君の場合、アイデアを出すだけじゃなく、自身もそこに身を投じている点に説得力を感じる。でも、それほど盛り上がっていた六本木のシェアハウスを閉鎖してしまったのはなぜ?

高木: どうしても横のつながりに偏ってしまいがちで、このまま続けても同世代同士で親密になるだけだなと、物足りなくなってしまったんです。そこで次は、文京区に「本郷よるヒルズ」を作りました。今度は18歳から59歳まで計7人、世代も立場も異なる人間が一緒に暮らしています。

乙武: 元アナウンサーや編集者、東大の大学院生と魅力的な人ばかりで、僕も参加したいくらい(笑)。つまり高木君は、これまでの概念に縛られずに、新しい発想で人間関係の在り方を追求しているわけだ。

高木: そうですね。生きていくうえで、コミュニティは必要だと思います。純粋に、寂しいですし。でも、逆にプライベートなスペースというのは、今の時代にわざわざ所有しなくてもいいと思っているんです。

乙武: でも、高木君だってたまには1人でゆっくり考え事をしたい時もあるでしょう?

高木: その場合は、外にいくらでもスペースがありますから。他人に干渉されたくない時は、漫画喫茶でもホテルでも使えばいいわけで。少なくとも今の東京では、プライベートは簡単にアウトソースできるものなんですよ。それよりも、いつでも戻れるコミュニティを持つことの方がよほど難しいと思います。

乙武: うーん、確かに。家という私的な空間をコミュニティ化して、逆に私的な空間を外に求める。少なくとも、現代社会にはそういうライフスタイルの選択肢があってもいいかもしれないね。

(構成:友清 哲)


【今回の対談相手】
高木新平さん
1987年、富山県生まれ。博報堂退社後、シェアハウス「よるヒルズ」やモノづくり集団「Liverty」など実験的なコミュニティを運営。また企業ブランディングや政治キャンペーンも手がける

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