乙武洋匡の「自問多答」

乙武洋匡×小室淑恵(1)

2013.11.08 FRI

乙武洋匡の「自問多答」


小室淑恵「経済も少子化も女性の社会進出が日本を救う!」



個々の家庭を見ても、日本全体を見ても、これからの時代には女性の社会進出がますます重要になってくる。共働きの夫婦が仕事と子育てを分担しながら働ける環境づくりは、僕らの将来を左右する大問題だ。今回は株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵氏を迎え、今のライフスタイルにマッチした、仕事と家庭のあり方を考えてみよう。

乙武: 女性の場合、出産や育児などが、それまでの働き方を大きく変えてしまう可能性があります。女性が出産後もハンデを感じることなく仕事を続けるために、障壁となっているのは何でしょう?

小室: 長い労働時間でしょう。育児中の短時間労働が認められている職場でも、実際には大半の女性が定時まで働いているのが実態で、この制度は結局、残業を避ける程度の役割しか果たせていないんです。

乙武: 日本だと、なかなか「お先に」と帰りにくい空気がありますもんね。そうして、結局は定時まで働いてしまっている…。

小室: 会社内の仕組みというのは、長時間労働が前提になりがちなので、重要な会議が18時以降に設定されるようなことも珍しくありません。つまり、短時間労働中の女性は本格的には仕事に参加できず、育児と仕事を両立させるのは難しいのが実情なんですよ。

乙武: そのあたりは海外の企業の方が進んでいますね。先日、ある外資系IT企業で会議をしていて、予定時刻に終わらなかったんです。すると、メンバーの1人が「子どもを保育所に迎えに行かなければいけないので」と中座されました。こういうのが許容される文化って、とてもいいなあと。

小室: 理想的ですね。そういう会社の理解に加え、家庭での理解も重要です。女性が仕事を続けることに反対する男性もまだいますが、内閣府の試算では、妻が出産後に職場復帰せずパートで働いた場合より、育休を3回取って正社員で働き続けた方が、生涯賃金が5000万~2億円も多いんです。家計が随分うるおいますよね。

乙武: 数字で聞くとすごくわかりやすいですね(笑)。
小室: 30代男性の平均年収はこの10年で200万円近くも下がっていますし、共働きでなければ2人以上の子どもを養育できないという試算もされています。家計のために男性が残業するより、妻が働けるように協力するほうが、男性もぐっとラクだと思います。

乙武: つまり、女性の長時間労働を改善し、夫も協力し、仕事と育児が無理なく両立できるような環境が整えば、それは少子化対策にもつながるわけですね。

小室: そのとおりです。今の時代は、高度成長期を生きた団塊の世代は男性だけの収入で3人以上の子どもを養えたのですが、今は全く状況が違うんです。

乙武: お父さんが働いて、お母さんが家事をするという家庭は、必ずしも現代社会のスタンダードではなくなってきていますよね。だからこそ、社会の仕組みもその変化に合わせてアジャストしていく必要性を感じます。

(構成:友清 哲)


【今回の対談相手】
小室淑恵さん
資生堂勤務を経て、働きやすい社会の実現を目指し、株式会社ワーク・ライフバランスを設立。仕事と家庭を両立し、組織の生産性を高めるためのコンサルティングを900社以上に提供している

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