乙武洋匡の「自問多答」

[対談]乙武洋匡×小室淑恵(4)

2013.11.29 FRI

乙武洋匡の「自問多答」


乙武洋匡「奥さんは夫を上手にホメてあげてほしい」



乙武: 僕の家のように妻が家事をメインにしている世帯もあれば、小室さんご夫妻のように子育てをしながら夫婦ともバリバリ働いている世帯もあります。ただ、いずれのケースでも間違えてはいけないのは、子育てとは夫婦2人でやるものだということですよね。

小室: その通りだと思います。家事や育児だって立派な仕事。家のなかでやるタイプの仕事か、外でやるタイプの仕事かの違いと考えるべきでしょう。専業主婦を妻に持つ男性でも、仕事を終えて帰宅したら、今度は家のなかの仕事を手伝うのを当然と考えなければならないと思うんですよ。

乙武: 妻を見ていて思うのは、家事や育児って24時間勤務で、いわゆる“休日”もないんですよね。奥さんが専業主婦であったとしても、ぜひ男性には家事や育児に参加する意識を持ってほしいですね。まあ、仕事で疲れているので、なかなか難しいとは思うんですが……。

小室: セミナーなどを通してヒアリングしてみると、どこの家庭でも、夫の家事への貢献度って、夫の自己評価と妻の満足度はまず一致しないんです。夫が“十分にやっている”と思っていても、妻に採点させるとせいぜい60点くらいだったり(笑)。

乙武: ああ、それはちょっとわかる気がしますね(笑)。

小室: 原因のひとつは、妻がやっている家事の総量が見えていないことです。料理や洗濯といった“派手”な家事には目がいっても、自分がいない間に行われている家事については鈍感になりがちなんですよ。玄関にしても洗面台にしても、妻が小まめに掃除しているとは考えが及ばず、もともとさほど汚れないものだと勘違いしてしまうんですね。うちの夫も、浴室の排水口のゴミは、自然に水圧で流れていくものだと思っていたほどです(笑)。

乙武: ちなみに小室さんのご家庭では、夫婦間で役割分担するうえで、なにか工夫していることなどありますか?

小室: 我が家では“家事分担ポイント表”というのを導入しています。派手な家事も地味な家事も、すべてにポイントを設定します。たとえば「朝食づくり」は何点、「お風呂掃除」は何点…といった感じで、労力に応じてポイントを割り振っていくんです。

乙武: なるほど、夫婦それぞれの担当のバランスが、合計の数字で可視化されるわけですね。たしかに、これはわかりやすい!

小室: 私の講座の参加者にもやってもらっているんですけど、面白いのは、「我が家の家事分担率は五分五分だと思います」という夫婦でも、このやり方でポイントを集計してみると、平均してだいたい8:1で奥さんに比重が偏っているんです。これを見て旦那さんは初めて実態を知るわけです。

乙武: お、お恥ずかしい(笑)。このポイント制にすることで、たとえ家事分担が平等にならなかったとしても、自分より多くの家事をこなしてくれているパートナーにあらためて感謝の気持ちが湧いてきそうですね。

小室: たとえばもし、旦那さんがあらかじめ決めておいたポイント数に達しなかったら、その差額をクリスマスプレゼントで還元してもらう、なんて仕組みをつくってもいいかもしれません(笑)。

乙武: あと、男の立場からいいたいのは、奥さんには旦那を上手に育ててほしいということ。どうしても男は家事に慣れていない人が多いので、女性から見たら粗が目立つかもしれないけれど、うまく“ノセて”ほしいんです。男って単純だから、たとえば子どもたちの寝かしつけにしても、「あの子たち、あなたに絵本を読んでもらうの、いつも喜んでるわよ」なんていわれるだけで、機嫌よくその役割を買って出るようになりますから(笑)。

(構成:友清 哲)


【今回の対談相手】
小室淑恵さん
資生堂勤務を経て、働きやすい社会の実現を目指し、株式会社ワーク・ライフバランスを設立。仕事と家庭を両立し、組織の生産性を高めるためのコンサルティングを900社以上に提供している

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