[対談]乙武洋匡×宮本エリアナ「マイノリティを考える」(3)

マイノリティへの配慮は必要?

2015.07.02 THU

乙武洋匡の「自問多答」


「人それぞれ違うことが当たり前になれば、必要以上にマイノリティを特別視しなくてもよくなる。そういう社会になってほしいと強く思います」

[対談]乙武洋匡×宮本エリアナ「マイノリティを考える」(3)



乙武洋匡: 僕は『五体不満足』の出版以降、一貫して「みんなちがって、みんないい」というメッセージを発信し続けてきました。僕は障害者だし、エリアナさんはハーフですよね。だからそれぞれ、自分が当事者である部分のマイノリティについては意識を鋭く持っていると思うんです。なおかつ、だからこそ自分が当事者ではないマイノリティ問題についても積極的でありたいし、理解者でありたいと思っている。

宮本エリアナ: はい。同感です。

乙武: ただ、そう思っているにもかかわらず、何の気なしに自分の口から出た言葉が人を傷つけてしまったことがあって、最近ちょっと考えさせられたんですよね。

宮本: 何があったんでしょう?

乙武: 僕は昨年4月から、「グリーンバード新宿」というゴミ拾いのボランティア団体の代表を務めていて、その活動にはLGBT(性的少数者)の方もよく来てくれるんです。参加者のなかに、体は女性だけどメンタリティは男性という方がいて、その人の存在をちゃんと認識していたはずなのに、何十人かで集合写真を撮るときに何気なく「女の子は前の方に並んで」という言葉が出てしまった。もちろん誰かを傷つける意図はまったくなかったし、LGBTの人がいなければ何の問題もない言葉だったのかもしれません。でも、その人がいるとわかっていて、わざわざ「女の子」という言葉を使う必要があったのか。もう少し配慮があれば、ほかの言い方があったんじゃないかと、すごくショックを受けたんです。

宮本: うーん…私のまわりにもLGBTの方は多いんですが、私は考えが逆で、たとえばレズビアンの人に特別に気を遣うっていうことが嫌なんですね。さっきの話だと、「女の子は前の方に…」と言われたなら、自分のことを女と思っている人は前へ行けばいいし、男だと思っている人は後ろに行けばいい。そこに特別な気遣いがないことが、一番の平等だと思うんです。私自身、こうしてハーフとして生まれてきましたが、何よりも“普通に接してほしい”というのが一番の気持ちですから。

乙武: なるほど、言われてみるとそうかもしれないですね。別の言い方があったのではないか、と悶々としてしまうこと自体が気の遣いすぎで、特別視してしまっていることになるわけだ。

宮本: そういうことを考えなくていい社会になってほしいなって、強く思います。たとえば海外ではハンディキャップを持った人のモノマネをするコメディアンがいて、それを観て笑ったりもするんですけど、日本でそれをやるとおそらく「差別的じゃないの?」って言われるじゃないですか。一方で、私がミス・ユニバースに選ばれると「黒人なのに」って言われてしまう。どちらのケースも、違っていることが普通になれば、こうはならないと思うんです。

乙武: なるほどね。そういえば、ちょっと前から役所やメディアで「障害者」という言葉を「障がい者」と表記するようになっているんですよね。それは社会に対する「害」というイメージをつけてはいけないという意味合いなんだけど、一律に障害者に対してはこうしちゃダメだという風潮には、僕も疑問を感じます。そのことに傷つく人もいれば、傷つかない人だっているわけだし、ひとくくりにカテゴライズするのはどうなの? って。

宮本: 人それぞれ傷つくポイントは違いますからね。

乙武: 一般的にはほめ言葉とされている「背が高い」という言葉だって、子供の頃から背が高いとからかわれてきた人にとっては傷つく言葉かもしれない。本来コミュニケーションってそういう一対一の関係で、この人にはこう言っていいのか、どうなんだろうって思いやることが大切だと思うんですよね。

【今回の対談相手】
宮本エリアナさん
1994年、長崎県出身。日本人の母親と、アフリカ系アメリカ人の父親の間に生まれる。中学卒業後に渡米し、2年間現地の高校に通う。帰国後にモデルとして活動をスタート。2014年11月、ミス・ユニバース・ジャパン長崎大会でグランプリを獲得。翌2015年3月の日本大会でグランプリを獲得し、日本代表に選出された。

(構成:友清 哲)

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト