人道支援が必要なのはイラクだけじゃない

知っておいてほしい、スーダン内戦の悲劇

2004.08.05 THU

いま世界で緊急に「人道復興支援」を必要としている地域がある。史上最悪規模の「民族浄化」が起こりつつあるスーダン共和国だ。

北アフリカに位置するアフリカ大陸最大の国スーダンの内戦は、1983年に端を発する。当時のイスラム政権が国政にイスラム法を導入したことに対して、キリスト教徒を中心とする南部の黒人が反発、スーダン人民解放軍(SPLA)を組織して、政府軍と衝突したことから始まった。20年にもわたるこの泥沼の内戦によって、約200万人が死亡したという。複数回におよぶ停戦合意も実効力に乏しく、今度は、スーダン南西部のダルフール地方を新たな悪夢が襲っている。

きっかけは2003年2月、ダルフールの反政府勢力が、政府の黒人差別的な圧政に対抗して暴動を起こしたことによる。政府の支援を受けたアラブの民兵組織ジャンジャウィードは、政府による空爆援護とともに、ダルフールの非アラブ系農民の村を襲撃し、大量虐殺、レイプ、略奪、放火など、ほしいままの残忍な行為を繰り返した。国連の推計によれば、現在までに約5万人が虐殺され、120万人もの人々が村を追われ難民化している。難民キャンプでは、食糧不足や疫病の蔓延に加え、ジャンジャウィードによる包囲と監視があり、虐殺やレイプが日常化しているという。

これほどの惨事であれば、当然、早期の国連による介入があってしかるべきだが、国連も米国もいまだ制裁をちらつかせている段階で、本格的な介入には至っていない。スーダンのバシル大統領も、ジャンジャウィードの武装解除を実行に移す気配は見られない。このまま大規模な援助が実施されなければ、「民族浄化」も現実となるほど事態は深刻化しているのに、である。

ダルフールから追われた難民の惨状については、「国境なき医師団」の公式サイトが定期的にニュースを配信している。日本のマスコミが伝えきれない国際社会の「現実」がそこにはある。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト