ジェンキンスさん問題で急浮上

話題の「司法取引」っていったいどんなことなの?

2004.08.19 THU

拉致被害者の曽我ひとみさんの夫、チャールズ・ジェンキンスさんが来日して1カ月。どうやら米軍による訴追問題は司法取引で決着する見通しとなってきた。ジェンキンスさんが脱走など4つの罪を認め、北朝鮮にいるほかの脱走米兵に関する情報提供に応じれば、禁固や懲役を伴わない「不名誉除隊」という軽い処分で済むというのである。

ところで、今回のジェンキンスさん問題でやたらと耳にするこの「司法取引」っていったい何なのか? もともと米国の刑事裁判ではかなり一般的なシステムで、被告側と検察側が法廷外で交渉し、被告側が罪を認めたり証言するなど協力するかわり、検察側が起訴事実を軽減したり一部を取り下げるという、簡単にいえば、司法と被告側による文字通りの「取引」のことだ。

実際、4年前にホイットニー・ヒューストンがハワイで麻薬所持で逮捕された際には、寄付をするかわり逮捕歴を抹消するよう検察に司法取引を持ちかけたし、今年1月には、ニューヨーク・タイムズ紙のコンピューターネットワーク侵入など2件の重罪に問われた有名ハッカーも、公判で検察との司法取引に応じて話題となった。

じゃあ、アメリカでそれほど一般的な制度がなぜ日本では馴染みがうすいのか。それはもちろん、日本では刑事裁判にそぐわないからと不採用になっているためだが、実をいうと、日本も過去に一度だけアメリカと司法取引をしたことがある。1976年、ロッキード社の副社長らが自社航空機の売り込みのため田中角栄に約30億円を渡した疑獄事件――そう、あのロッキード事件がそれで、当時の三木内閣は、米側から証言記録など重要資料の提供をうけるかわりにロ社側の贈賄容疑を問わないという、「日米司法共助協定」を締結したのだ。

こうしてみると、司法取引が話題になるのはいつも日米関係絡み。ジェンキンスさんの場合は人道的配慮という面が強いが、司法取引そのものの是非をちゃんと考えてみるのもいいかもしれない。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト