ジェンキンスさん問題でも腰砕け

なぜ外務省は中山参与みたいな「強気の外交」ができないのか?

2004.09.02 THU

例のジェンキンスさん問題をきっかけに中山恭子・内閣官房参与が脚光を浴びている。そう、政府の拉致被害者支援室の責任者で、曽我ひとみさんを「ひとみちゃん」と呼ぶ、やたらと上品な雰囲気のあの人のことだ。

たしかに中山参与の剛腕はすごかった。たとえば曽我さん一家の再会場所選びでは北京を主張する外務省を一蹴してインドネシアにし、さらに再会後も、政府・外務省の反対を押し切ってジェンキンスさんの超法規的な来日を実現。まるで政府の方針をひとりで決めているような彼女に対しては、外務省から「中山参与の暴走だ」とバッシングも起きたくらいだったという。

でも、外務省はなぜ中山参与のような強気の外交ができないのか。なんで相手国のことばかりを気にするのだろうか。

ひとつには外務省特有の「語学閥」に理由がある。外務省には、特定の語学研修をおこなった官僚中心の硬直した人事制度があり、その相手国に対しては体質的に強く主張することができないのだ。チャイナ・スクール、ロシアン・スクールと呼ばれるものがそれで、対北朝鮮や対中国政策をおこなうアジア大洋州局は、有名になった田中均審議官を筆頭にこのチャイナ・スクールで占められているのである。ちなみに中山参与は外務省ではなく旧大蔵省の出身で、日朝首脳会談後に拉致被害者のサポート役として内閣参与になったにすぎない。

そしてさらにいえば、外務省そのものの特殊性にも原因がある。もともと外務省は機密費や鈴木宗男問題が起こるまで外部の介入を受けたことがなく、実際、数年前の省庁改編でも分割・合併を免れ、名称すら変わらなかった。それは最近まで国家公務員試験ではなく外交官試験で人材雇用していたことでもわかるはず。そのため、旧来の信じられないような慣行・制度が温存されたままになり、いまや国内はもちろん世界に対しても「適応不全」を起こしてしまっているのだ。田中真紀子さんが伏魔殿と呼んだゆえんというわけだ。

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