来年には国民投票法案成立を目指す与党だが…

憲法改正に必要な「国民の過半数」って何人?

2004.09.09 THU

もしいま、憲法改正のための国民投票が実施された場合、国民の何人が賛成すれば可決されるか知っているだろうか。「憲法には、『国民の過半数』の賛成によって改正可能、と明記されているから、およそ6500万人ぐらい?」。いえいえ、答えは「決まってない」だ。つまり、憲法改正の条件となっている「国民の過半数」の具体的な内容は、日本国憲法制定から現在に至るまで、定義されないままなのである。

したがって、憲法改正の国民投票を実施するためには、投票期日、選挙年齢、是非の判定方法といった、「国民投票」に関するこまごまとしたルールを決めなくてはならない。そして、そのルールに当たるのが「国民投票法案」と呼ばれる法案だ。「国民投票法案」は、2001年に憲法調査会設置推進議員連盟によって発表されているが、当時は護憲派の強い反発もあって、国会への提出までにも至らなかった。だが、与党は来年での法案成立に意欲的だ。仮に、当時の法案内容のまま可決された場合、選挙資格は20歳以上の日本国籍を有する者、「国民の過半数」は「有効投票総数の過半数」ということになる。

ここで注意したいのは、「国民の過半数」が「有権者総数の過半数」ではなく「有効投票総数の過半数」とされていることだ。つまり棄権票は当然のこと、白紙票も「国民」としてカウントされないということである。すると、たとえば国民投票の投票率が総選挙並みの6割程度だと、有権者の3割以上が賛成すれば、憲法改正を決定してしまうことになるのだ。

憲法とは、主権者たる国民から国家への命令である。それゆえ、できるかぎり大勢の民意が反映される仕組みのほうが望ましいのはいうまでもない。そう考えれば、「国民の過半数」は「有効投票者総数」と簡単にイコールにできるものではないはず。憲法論議が大切なのはもちろんだが、改正の手続きが、可決の可能性を大きく左右することを知っておきたい。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト