民族の独立を賭けた戦い

「チェチェン紛争」血の報復の理由

2004.10.07 THU

血の報復が止まない。8月の旅客機2機同時爆破、モスクワ地下鉄駅前自爆テロ、9月の北オセチア共和国での学校占拠。ロシア南部では今もチェチェン共和国の独立派武装勢力とロシア軍との戦闘が続いている。「チェチェン紛争」と呼ばれるこの戦争は、ロシアからの民族国家独立を求めるチェチェン人と、独立を認めないロシアとの争いだ。

チェチェン共和国とロシアとの確執は19世紀、帝政ロシアがチェチェンのあるカフカス地方を侵略、併合したことに始まる。91年にソ連が崩壊すると、チェチェン共和国は独立を宣言。だが94年にロシア軍がチェチェンに侵攻、第1次チェチェン戦争が勃発。約70万人のチェチェン人から8~10万人の死者を出し、96年に停戦。両国は和平合意を締結し、チェチェンの独立は01年に再協議されることになった。

が、99年に入りチェチェンの強硬派が隣国に侵攻、さらにロシア各地で爆破事件が相次ぐと、ロシア政府は空爆を開始、第2次チェチェン戦争が始まる。チェチェンはゲリラ部隊による抗戦も苦しく、イスラム原理主義を信奉する国際テロ組織とのつながりを強めていった。旅客機爆破テロと地下鉄自爆テロの犯行声明は、アルカーイダとの結び付きが指摘される「イスランブーリ旅団」によるものだった。

チェチェンは原油を産出し、バクー油田のパイプラインの通過地でもある。またチェチェンが独立すれば、その周囲の民族共和国もロシアから離反するかもしれない。原油の利権と国土の一体性――ロシアがチェチェンを手放さないのは、この二つを保持するためだとの見方が強い。これをチェチェン人の視点から見れば“ロシアの国益のための民族浄化”ということになる。

プーチン大統領はテロとの武力対決の姿勢を固め、国外のテロリストの拠点への先制攻撃の可能性も示唆している。だが、誰が戦争の拡大を望んでいるだろう? 和平交渉によるチェチェン人の民族国家独立が実現されることを祈る。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト