聖職者ゲリラから政治家へ転身?

イラク新政府のキーパーソンサドル師とはどんな人物?

2004.10.21 THU

「勝利するか死ぬまでナジャフに留まり、聖地を守り続ける」と、米軍からノーマークだったその男は民兵を従え聖廟に立てこもり、8月、負傷した右手右腕に包帯を巻いた姿で演説した。イスラム教シーア派の反米強硬指導者、ムクタダ・サドル師である。

サドル師はイラク・シーア派有数の名家出身で推定年齢24~31歳。「~師」とはイスラムの法学者・聖職者を指す称号で、彼らはイスラム圏で指導者として崇められている。その中でも過激反米主義を掲げるサドル師は、イラク戦争開戦後、独自政府の樹立やバグダッドからシーア派聖地ナジャフへの首都移転を訴え、貧困層を中心に瞬く間に支持を広げ一大勢力を築いた。そして民兵組織「マフディー軍団」を従え、米軍やイラク国家保安隊との戦闘を繰り返し、イラク中部ナジャフのシーア派聖地・アリ聖廟に籠城、先の演説を行ったのである。

サドル師派は、8月に開催された主権移譲後最大の政治日程「国民大会議」を、「占領下で開催されているから」とボイコット、他の政治勢力と一線を画し独自色をアピール、民衆の反米感情をさらに味方につけようとした。が、イラク暫定政府はサドル師派にナジャフの即時退去を通告、米軍の掃討作戦でサドル師派は弱体化し、8月末、停戦に合意して聖地ナジャフから撤退。その後、サドル師派は影を潜める。

ということにはならなかった。武装闘争に挫折したサドル師派は一転、政治組織へと転換することでその影響力を強めようと図り、暫定政府の閣僚らと協議を重ね、来年1月までに行われる国民議会選挙への参加を表明した。人口の6割以上をシーア派が占めるイラクで、サドル師派が国政に与える影響は今後も見過ごせない。

サドル師派の動向は僕らにとって“遠い国の出来事”ではない。サドル師の代理人は停戦後の8月31日、日本のメディアとの会見でこう述べている――「自衛隊が占領軍であることや、占領の協力者であることが明らかになれば攻撃する」。

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