時計の針が逆戻りしているイラク情勢

イラクに非常事態宣言発令、自衛隊の派遣期間はどうなる?

2004.11.18 THU

米大統領選でブッシュ氏が再選した矢先の今月7日、イラク暫定政府は、北部クルド人自治区を除く全土に60日間の非常事態を宣言した。

非常事態宣言の背景には、駐留米軍による中部ファルージャでの大規模掃討作戦がある。ファルージャは、テロ組織や反米武装勢力の拠点となっている地域であり、米軍主導の多国籍軍は停戦以降もこの地域に激しい攻撃を繰り返してきたが、武装勢力の反撃は一向にやむ気配はない。そこで、一気にケリをつけるべく、米軍は大規模な掃討作戦を実行、イラク戦争以後、最大規模の攻撃となった。

それにともなって気になるのは、自衛隊の派遣期間延長問題だ。非常事態宣言の対象地域には、当然のことながらサマワも入っている。折りしも、10月には宿営地にロケット弾が着弾、イラクのなかでは比較的安全といわれていたサマワの治安も悪化していることが明らかになった。さらに、10月31日に香田証生さんの遺体が確認されたという悲しいニュースは、反米武装勢力の敵意が、日本にもまた強く向けられていることをあらためて認識させた。

自衛隊の派遣期間は予定通りならば、今年の12月14日まで。小泉首相は期間延長に意欲的だが、野党のみならず自民党内部でも予定期間後の撤退を求める声は少なくない。世論調査でも、撤退賛成が過半数を超えている。小泉首相は期間が切れるギリギリまで決断を延ばすようだが、「延長」という決断を下した場合は、自公連立政権にも大きな影響を与えることになるだろう。

国連のアナン事務総長は、米軍のファルージャ制圧作戦を来年1月に予定されているイラクの国政選挙を妨害するものだと作戦に先立って警告を発したが、攻撃は一般住民を巻き込みながらいまなお続いている。非常事態宣言によって、時計の針が逆戻りになったかのようなイラク情勢。自衛隊を撤退するにせよしないにせよ、その理由が「日米同盟」維持のためだけではないことを願いたい。

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