高まる北朝鮮制裁論

でも「経済制裁」って一体どういうことなのか

2005.01.27 THU

横田めぐみさんの「遺骨」が別人のものと判明して以降、北朝鮮に対して「経済制裁しろ!」との声が高まっている。政界では拉致問題特別委員会が政府に経済制裁を求める決議を採択し、小泉首相も「北朝鮮の対応を見極めたうえで、将来の経済制裁を考えなければならない」と経済制裁に言及。さらに新聞各社の世論調査でも7割前後の人が経済制裁を支持する、というように。

たしかに、あの誠意の欠片も感じられない北朝鮮の対応を見ればこうした声が上がるのも当然だろう。しかし感情的になる前に知っておかなければならないこともある。それは北朝鮮に経済制裁を行ったとして本当に効果があるのかということ。なにより、もし経済制裁が裏目にでた場合、どういう結果を招くのか、ということである。

実をいうと、これまで経済制裁で成功した例はほとんどない。1940年以降、米国や旧ソ連、国連などによって、ユーゴスラビア、キューバ、イラン、ポーランド、イラク、リビア…と、さまざま国に経済制裁が行われてきたが、いまのところうまくいったのは92年のリビアだけ。経済制裁の実効性を高めようとすれば、海上封鎖→武力行使→戦争とエスカレートするのが通例で、たとえば、90年の多国籍軍によるバグダッド空爆とその後の湾岸戦争は、その前段に国連安保理による半年間の対イラク経済制裁があった。ちなみに日本も41年に米国から石油輸出全面禁止という経済制裁を受けた結果、日本海軍が米国の真珠湾を攻撃し、やはり戦争へと発展している。

つまり経済制裁を行うということは、戦争をも覚悟する必要があるということだ。日本は北朝鮮にとって中国、韓国に次ぐ3番目の貿易相手国であり、たしかに人道支援の凍結や送金禁止、貿易の制限などを行えば大打撃を与えられる。だが、経済制裁は拉致問題解決の手段であり、それ自体が目的ではない。経済制裁に賛成か反対か、という二元論の前に、その辺をもう一度考えてみるのはどうだろうか。

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