天然資源大国の次なる戦略

京都議定書がついに発効。ロシアのしたたかな思惑とは?

2005.02.24 THU

地球温暖化を防止するため、先進国に二酸化炭素などの温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書が2月16日に発効した。これにより各国は温室効果ガスの排出量の削減に向け本格的に動き始めることになる。最大の排出国であるアメリカが経済への悪影響を理由に離脱、中国・インドなど経済発展を続ける途上国が枠組に含まれていないことなどから、実際の効果を疑問視する声もある。が、日本も約14%の削減達成のため、環境税の導入など対策を検討している。

一時は危ぶまれていた京都議定書の発効が実現したのは、ロシアの批准によるもの。これまでのらりくらりと批准を先延ばしにしてきたプーチン大統領の決断の背景には、WTO(世界貿易機関)への加盟を推進したい狙いがあるとされる。また、ソ連崩壊後の経済崩壊でロシアのエネルギー消費量は大きく減っていて(かつての75~80%程度)、90年当時の基準で設定された温室効果ガス削減目標は、非常に有利な条件。約9億ヘクタールという世界最大の森林面積を有することもあり、先進国間で行われる排出権取引(※)で大きな利益が見込める。

04年度のロシアは、世界的な原油価格の高騰などに支えられ、6865億ルーブル(約250億ドル)という史上最高の財政黒字を記録した。IMF(国際通貨基金)からの債務返済も完了。ロシアも近年のGDP成長率が4~7%と高水準で推移している急成長国のひとつなのだ。その柱は、石油や天然ガスなど天然資源の輸出。こうした状況はチェチェン独立紛争とも無関係ではない。チェチェン共和国が位置するカフカス地方は地下資源の宝庫。ロシアにとっては手放すことのできない重要な地域だ。

しかし、ロシアが現状の経済発展を続けるなら、エネルギー消費は増大し、いずれ対策を迫られるはず。実はロシアの批准にはある条件が付いていた。『08~12年の参加期間に京都議定書がロシアの利益に反することが分かった場合、それ以降の参加は停止する』のだという…。

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