「正式な国づくり」への一歩を踏み出せるか?

国民議会選挙から1カ月イラクに平和は訪れたの?

2005.03.03 THU

フセインの独裁と弾圧、戦渦と米軍の占領統治を経たイラク国民にとって悲願だった過去50年間で初の自由選挙。自らの意思で正式な政府を選ぶ第一歩。切実な重みを持ったイラクの国民議会選挙から1カ月が経った。

妨害テロやボイコット、投票用紙の不足などの不備もあったが、イラク戦争に反対したフランスと国連も「成功」と評価した。

先の選挙で選ばれた「移行国民議会」は、1. 内閣を組織し、2.「移行政府」を発足し、3. 憲法をつくる。そして新憲法に基づいて改めて議会選挙が行われ、4.「正式な議会」が発足し、その議会が5.「正式な政府」を選び、ようやくイラクの「正式な国づくり」が始まる。そしてイラクは戦争もテロもない平和な国になる―と書ければよいのだが、先の選挙自体が新たな火種をはらんでいる。イスラム教スンニ派の反発だ。

選挙ではシーア派統一会派が得票率48%で圧勝し、全議席の約半数を獲得した。一方、スンニ派の得票率はわずか2%以下。

イラクの人口の60%を占めるシーア派は、フセインの下で抑圧されてきた人々である。抑圧していたのはフセイン元大統領が属する人口の20%のスンニ派。ところが、自由選挙では必然的に、人口の多いシーア派が得票率で勝る。抑圧・被抑圧の構図が逆転する。だからスンニ派の大半が選挙をボイコットし、「新しい議会も憲法も正当性を持ち得ない」と反発しているのだ。

こうしたスンニ派の反発は、内戦や国家の分裂につながる危険性をはらんでいる。だからシーア派の政府は、スンニ派に閣僚ポストを用意するなどの協調を模索している。イラクには少数民族のクルド人もいる。宗派間や民族間の融和と共存共栄が、イラクの新しい国づくりのカギなのだ。

先の選挙では、「投票所に行く道を血で染める」との過激派の脅迫にも屈せず、よそ行きに着替えて投票に行った家族、投票を終えて涙した人々がいた。文字通り命をかけた一票一票が今後、イラクの苦難の過去に光明の幕を下ろすことを願う。

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