反日騒動は沈静化したが…

中国は「愛国教育」で何を教えているのか?

2005.05.26 THU

中国の反日デモがようやく沈静化したようだ。それにしても、今回の反日感情の高まりは何だったのか。その理由についてはいろんな見方があるが、背景のひとつとされているのが中国の「愛国主義教育」の影響である。

この愛国教育とは、天安門事件後の90年代初めに中国で強化された一種の民族主義教育のこと。たとえば中国はこれまで、日本が歴史教科書などで過去の歴史(旧日本軍の行為など)を改ざんしていると、日本側の歴史認識を事あるごとに非難してきたが、愛国教育における歴史教科書の中身は日本の比ではないという。実際、米紙ニューヨーク・タイムズは昨年12月6日付でこう報道している。「中国では日本を叩くことが国民的な娯楽で、日本に対して正しい歴史を教えないと叱るが、中国の歴史教科書こそ近年の歴史をきわめて選別的に教え、ゆがんだ見解を提供している」。

いったい中国の歴史教科書には何が書かれているのか。同ニューヨーク・タイムズはゆがみの実例としてこう指摘している。

1.かつて中国軍はチベットやベトナムに侵攻したのに、自衛以外の戦争はしたことがない、と教えている。2.日本は第2次世界大戦で、米国ではなく中国共産党軍に敗北させられた、と教えている。3.1950年代に毛沢東が実行した政策「大躍進運動」の失敗で約3000万人が餓死した事実は教えない――など。そしてもちろん、89年に起こった民主化運動や、その末にデモ参加者が軍に数百から数千人殺された天安門事件についても、中国の歴史教科書ではほとんど触れられていないという。

もっとも、歴史認識について非難しあっても意味がない。実は日中間ではいま、今回の騒動を機に歴史共同研究の実施が提案されているのだが、重要なのはこういう歩み寄りだろう。そう、英紙フィナンシャル・タイムズが「アジア人の非難合戦」と題し、社説でこう触れているように。「戦後の和解には、加害者の反省と同時に、犠牲者からの許しも必要だ」

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