博士号をとっても教授になれない?

定職に就けない博士が1万人以上? 日本の「ポスドク」事情

2005.06.16 THU

末は博士か大臣か。かつてあった、そんな名言も、今や時代にそぐわない言葉になってしまったのかもしれない。大臣はさておき、博士はその言葉の神通力を完全に失ってしまったようなのだ。博士号を取得したものの、定職に就けない「ポストドクター(ポスドク)」が、実に1万2500人に達したことが、文部科学省の実態調査で明らかになったのである。しかも2003年度は約1万200人だったというから、1年間で約2300人も「定職に就けない博士」が増えてしまったことになる。さらに約8%が40歳以上という“高齢化”も心配されており、経済的な苦しさや不透明な未来を絶望視して、自殺者も出ているという。どうしてこんなことになってしまったのか。

ポスドクとは、博士号を取得した後、研究員や助手、助教授など、専任の職に就くまでの間、大学などに籍を置いて研究を続ける若手研究者のこと。アメリカではこのポスドクの仕組みが研究者間の競争を促し多くの成果を生み出したといわれる。日本も経済が苦境に陥った90年代、産業競争力を高めようと国内の研究者層を厚くすることを考え、大学院の定員拡大を図った。まさにポスドクを増やそうと考えたわけだ。事実、この10年で大学院生は倍増するなど、ポスドク量産に成功することになる。

ところが、である。ポスドクは増えても、研究職や助手の採用が急激に増えるわけではない。その結果、定職の「空席待ち」のポスドクがどんどん増えてしまったのだ。博士なんだから民間企業で活躍すればいいのに、とも思えるが、多くは研究者志望。企業にはあまり関心はないという。さらに企業側も「視野が狭い」などと採用に消極的。こうした状況が、ポスドクの就職難にますます拍車をかける結果となっている。

青春時代を勉学に捧げて勝ち取った博士号。なのに定職に就けないなんて、あんまりではないか。頑張った人に報いる場所を提供できなければ、科学技術立国ニッポンの土台も揺るぎかねない。

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