最大の懸念は高齢化による財政悪化

「骨太の方針」から読み解く日本の問題点とは?

2005.07.28 THU

政府は6月、政策運営と来年度の予算編成のベースとなる「骨太の方針」をまとめた。小泉首相にとって最後となる今年の「骨太の方針」は、「日本経済はバブル後を抜け出した」と景気回復を宣言したが、その中身からはバブル崩壊の後遺症よりはるかに厄介な、日本の背骨まで深く蝕む病巣が見えてくる。

最大の問題は、高齢化による一層の財政悪化が懸念されることだ。政府は2010年代初頭に基礎的財政収支を黒字化するとの目標を掲げているが、05年度は約16兆円の赤字。歳出改革に失敗すれば、15年度には赤字が約25兆円に膨らむ見込みだ。

その歳出改革のカギを握るのが、歳出全体の4分の1を占める社会保障費の抑制である。高齢化の進展によって、社会保障費は国の予算規模で毎年1兆円以上増える見込みで、昨年度で86兆円だった給付は20年後には152兆円になる見通しだ。「方針」では、伸び率が高い医療費の抑制が謳われたが、数値目標の設定は見送られ、「適正化」という単なる目標提示にとどまった。

「方針」には、公務員の人数減と人件費削減も盛り込まれた。というのも、今回の方針では、財政再建のための選択肢として初めて増税が明記されたのだ。が、国民に負担を強いる前に政府自ら身を切らなくては、ということで、公務員改革を筆頭に、政府系金融機関の改革や三位一体改革、市場化テスト法案の国会提出などが挙げられた。しかし、刑務所や税関などの国家公務員は増員する必要がある、と早くも政府内で異論が出ていて、先行きは不透明なまま。

一方、国連が求める水準を目指す、ODAの7年ぶりの増額も示された。国がどれだけ借金を背負っても、国際化の波と外交圧力には逆らえないのだ。

「骨太の方針」から見えるのは、さらなる財政悪化の兆候と、苦肉の再建策との拮抗だ。秋から年末にかけて、「方針」に具体策や数値が肉付けされる。政府には、重い国の未来を支えられる、たくましい肉付けをしてもらいたい。

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