インドとパキスタンの和解は進む?

パキスタン大地震の救援がカシミール紛争を終結させる?

2005.11.24 THU

パキスタン大地震で最大の被害を受けたカシミール地方は、インドとパキスタンが長く領有を争ってきた紛争地域だ。が、両国が被災地の救援活動で連携したことによって、和解が大きく進展する可能性が出てきた。

まず紛争の歴史をおさらいすると、印パ両国は1947年にイギリスから分離独立したが、この時カシミール地方を統治していた藩王国の王がヒンズー教徒だったため、同地方はヒンズー教国インドに帰属となった。だが住民の8割を占めるイスラム教徒は、イスラム教国パキスタンへの帰属を希望して王に反発。そこへパキスタンが軍事介入して第一次印パ戦争に発展し、その後2度の戦争を経て72年に事実上の国境線にあたる実効支配線が引かれた。

98年には両国が核実験を行い再び緊張が高まり、01年にはイスラム武装組織がインド国会議事堂を襲撃。インドはパキスタンの後ろ盾を疑い、双方がカシミールに計100万人の兵士を配置し、核保有国同士の軍事衝突の危機をも迎えた。が、03年に停戦、両国関係は好転。昨年1月には両国間を結ぶ鉄道の運行を再開、春にはクリケットでスポーツ交流、6月には核実験凍結継続を確認、今年4月には実効支配線をまたぐバスの運行を再開、10月にはトラック貿易の開始に向けて協議――と和解が着々と進む途上で地震が発生。

インド政府は空路、陸路で救援物資をパキスタンへ輸送し、カシミールでは両国間を結ぶ電話が開通。そして11月7日には両国民の実効支配線の相互往来も実現した。インドが救援活動に精を出す背景には、パキスタンに貸しをつくってカシミールの領有問題を有利に進めたいとの思惑もあるようだ。また国連安保理常任理事国入りを目指すインドにとって隣国との関係改善は不可欠で、パキスタンにはインドと和解を進めるよう米国から圧力がかかっていた、という事情もある。が、対立より和平がいいことに変わりはない。被災地の復興とともに両国の一層の和平進展を祈る。

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