経済界で叫ばれる「労働開国」の声

フランスの「移民問題」で考えてみる将来のニッポン

2005.12.15 THU

フランス・パリ郊外の移民街で暴動が発生したのは10月27日のことだった。その後、暴動はフランス全土に広がり、ついにフランス政府が非常事態を宣言。1955年以来、半世紀ぶりに夜間外出禁止令が発動される事態にまでなったのはまだ記憶に新しいだろう。

ところで、今回の暴動の理由は何だったのか。少なくとも原因のひとつといわれているのが「移民」問題で、そしてこれに連なるのが若者の失業・貧困という問題だ。

移民政策をとっていない日本に住んでいるとピンとこない面もあるが、ヨーロッパでは多くの国が移民を寛容に受け入れる政策をとっていて、同時に移民と地域社会の軋轢がたびたび問題化していたのだ。フランスの場合も、第一次大戦時の人口減少をきっかけに移民を受け入れはじめ、第二次大戦後の経済成長期にはアフリカなどの旧植民地から大量の移民が流入。政府も彼らに国籍を付与して積極的に受け入れてきたのだが、その後、移民の2世や3世にあたる若者が増えていったことで、移民政策の「歪み」も表面化してしまうのである。

その歪みとは、社会に潜む根深い差別であり、失業問題――。実際、フランスには人口の約7%にあたる450万人の移民がいるが、彼らの失業率は全国平均の2倍の20%以上で、しかもその多くが若者だという。つまり今回の暴動、移民政策の負の面が露呈したものだったともいえるのだ。

そしてじつは、移民問題は少子化社会を目前にした日本にとっても人ごとではない。政府は将来を見すえた移民政策をあまり考えていないが、少子高齢化は政府予想を上回るスピードで進み、その一方で外国人登録者数は10年間で58・1%の伸び率を示している。そのため経済界には「労働開国」を求める声も多いくらいで、いい悪いではなく、現実的に「移民」という問題を考えなければいけないのは確かだろう。ただ、外国人=安い労働力という安易な考えはそれじたいが差別的でもあり、この問題、そう簡単な話ではないのだ。

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