「円」がなくなる日が来る?

北米、欧州と並ぶ第3の勢力圏、「東アジア共同体」はありえる?

2006.01.26 THU

「東アジア共同体」構築という文字を新聞やニュースで見かける機会が増えた。EUの東アジア版をイメージして欲しい。ベトナム、タイ、シンガポールなど10カ国による東南アジア諸国連合(ASEAN)+日本、中国、韓国などが政治、経済、安全保障、環境保全などの多分野で協力して共存繁栄を目指すという構想だ。

経済規模ではEUの人口4・5億人/GDP12兆ドル、NAFTA(北米・カナダ・メキシコ)の4・3億人/12兆ドルに対し、ASEAN+日中韓は20億人/7兆ドルで遜色ない。EUのように通貨が統合されればドル、ユーロと並ぶ一大通貨圏が誕生。共同体構築によって欧米に匹敵する安定した経済力が生まれ、東アジアの地位が向上するなどのメリットが期待されている。

共同体構想に関しては賛否両論がある。東アジア共同体構想を研究する「東アジア共同体評議会」内に掲載されている識者のコラムを通覧すると、日中韓の反目や文化的背景の違いなどから、「『東アジア共同体』は虚妄にならざるを得ない」(国際教養大学・中嶋嶺雄学長)という識者もいれば、韓流をはじめ、日本のアニメ、マンガの人気など、東アジアの文化交流を土台にして、「史上初めて地域的な接近がなされるようになってきた」(法政大学・青木保教授)と、その可能性を評価する声もある。

共同体構築を議題に掲げた昨年12月の東アジア首脳会議では日中が加盟国問題で争った。日本はASEAN+日中韓にインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた16カ国案を主張したが、中国はASEAN+日中韓で共同体をつくると主張。結局、協議は中国案の優勢で終わった。

日中というリーダー国の足並みが揃わなければ統合どころではないが、さらに東アジア各国は宗教や文化、政治体制が様々で、経済格差も大きい。キリスト教文化や類似の生活習慣を共有していたEUでさえ統合が容易でなかったことを考えると、実現までの道のりはまだまだ遠そうだ。

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