いまや世界中が大騒ぎしている

風刺画問題が教える「イスラム教のタブー」

2006.03.16 THU

イスラム教の預言者、ムハンマドの風刺画問題で世界中が大騒ぎになっている。ことの発端は、デンマーク紙がムハンマドをテロリストのように描いた風刺画を掲載したためだが、これに怒ったイスラム教徒の抗議行動がエスカレート。いまや「表現の自由」を訴える欧米社会とのあいだで「文明の衝突」のような状態になってしまっているのだ。

そもそもイスラム教徒たちはなぜこんなに怒っているのか。その直接的な理由は、1.ムハンマドを漫画にした。2.しかもムハンマドをテロリスト扱いして侮蔑した――の2つ。もともと神が唯一絶対的な存在のイスラム教では偶像崇拝がタブーで、そのうえムハンマドは世界中のイスラム教徒から神の次に敬愛されている存在。実際、イスラム社会では多くの親が子どもにムハンマドと名前をつけるくらいで、それだけに彼らが怒るのも無理はないかもしれない。

しかし、ほんとうの原因は、じつはお互いに対する理解不足が根底にあるのではないかという意見も少なくない。イスラム社会に欧米の民主主義社会への理解不足があるように、欧米側にも、イスラム社会に対する無知や偏見があるんじゃないか――と。

欧米社会には「表現の自由」は自分たちで勝ちとった権利という意識が強く、そのためローマ法皇やキリストでさえ風刺の対象にされる。一方、イスラム教はその成り立ちが偶像崇拝やほかの宗教との戦いでもあったため、神の教え「コーラン」で禁じているタブーにすごく敏感なのだ。たとえば、有名なタブーに豚肉を食べてはいけないというのがあるが、これは肉そのものを指しているだけではない。ソーセージやハムなどの加工食品はもちろん、豚から抽出されたエキスも禁じる徹底ぶりで、過去にはその手の日本製調味料にインドネシアで回収命令がだされたこともあったという。

こうしたイスラム社会の文化を米国政府のように反文明的というか、それとも理解を深めるべきか。今回の風刺画事件はそのきっかけになるのだろうか。

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