財政危機のしわ寄せがくっきり

4月に施行される法律から見えてくる世の中の問題は?

2006.04.06 THU

4月に施行される法律を眺めると、いま世の中にどんな問題があるのか、が見えてくる。注目したいのは高齢者対策と障害者福祉だ。

「改正高年齢者雇用安定法」は、「やる気のある人は長く働けるように」とつくられた法律。65歳まで定年を延長したり、雇用を続けたりして、社員やパートを雇うことが企業に義務づけられた。4月の施行に伴い、60歳の定年退職後も希望者を再雇用する企業が、大手を中心に出てきている。

一方、体の不自由な高齢者への暴力や介護放棄を防ぐためにできたのが「高齢者虐待防止法」だ。法の対象は65歳以上の高齢者。児童虐待やDV(配偶者間暴力)防止の法律はあったが、高齢者虐待に対処するものはこれが初めて。虐待に気づいた一般市民や介護施設の職員には通報義務が課され、市町村には家庭への立ち入り調査や高齢者の一時保護の権利が与えられた。

「改正介護保険法」は、介護保険の財政逼迫に対応したもの。軽度の要介護者が家事代行サービスを受けていることが、給付費膨張の原因だとして、家事サービスを基本的に廃止。代わりに、筋力トレーニングや栄養改善指導などの「介護予防サービス」を導入。さらに介護施設の食費・居住費を自己負担化する、という厳しい内容だ。

障害者福祉でも、負担増で不安が広がる。「障害者自立支援法」では、支援財政が破たんしたことを受け、介助サービス料の1割を障害者が負担することに。この法律の根本の目的は、障害者が施設を出て、社会で自立した生活を送れるように支援すること。早急に、障害者の就労環境を整えたり、所得を増やす施策が求められる。その一環の「改正障害者雇用促進法」は、在宅で働く障害者や精神障害者の就労を支援するもの。

このように見ると、財政危機が法律にも大きく影響していることがよくわかる。改革路線まっしぐらの政府にとって、競争促進と社会的弱者への支援の両立は、絶対に無視してはならない課題だ。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト