注目キーワードは「一方的撤退」

イスラエル総選挙その結果と今後の行方

2006.04.20 THU

3月28日、イスラエルで国会にあたる議会の総選挙が行われました。結果からいえば、定数120に対し第一党のカディマが29議席、次いで労働党が20と過半数を得た政党がなく、4月13日現在、連立政権に向けて交渉が進められています。

「カディマと労働党の連立は確実。残りいくつかの少数政党と組めば過半数61を確保、カディマ政権が誕生することになります」(放送大学助教授・高橋和夫氏/著書に『アラブとイスラエル』講談社新書など)

ざっくり分けるとカディマは中道で労働党は左派。考え方に違いはあるものの、選挙でカディマは対パレスチナ問題を中心に戦い、かたや労働党は経済問題が中心。つまりお互いに相手の主張を受け入れ、連立できる余地があるのです。

では、連立政権誕生後のイスラエルをどう占えばよいのでしょうか。そのキーワードとなるのが“一方的撤退”です。

「イスラエルはこれまでパレスチナとの交渉で和平を目指してきましたが、思うように進んでいません。ならば交渉をせず、イスラエルが『一方的に』国境を決めてしまおうとシャロン氏(前首相でカディマ創設者)が言い始めました。というのも、アラブ人の出生率はユダヤ人より高く、このままアラブ人が多く住む占領地を抱え続ければいずれイスラエルはアラブ人国家になってしまうのです。そこでカディマは、アラブ人密集地を切り離したうえでイスラエルの領土を広げ、それを既成事実として固定化しようと考えています」(同)

たとえば。もし隣の席に座る同僚が、あなたの席にハミだして書類を積み上げ「この書類があるところまで、俺の席ね」と言ってきたら? 言われる側からすれば、決して気持ちのいいものじゃないですよね。

撤退=和平というイメージに引きずられず、この「一方的撤退」が持つ意味を押さえておくと、今後のイスラエル・パレスチナ問題への理解がぐっと深まると思いますよ。

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