15年ぶりにタイでクーデター勃発

「ASEANの優等生」タイに何があったの?

2006.10.26 THU



写真提供/時事通信
経済発展を続けていたタイでクーデターが起きた。5年前に就任したタクシン首相の渡米中に、タイ陸軍の司令官が部隊を率いて政府施設やテレビ局を一気に制圧。その結果、タクシン政権は崩壊し、実権を握った軍部は今月はじめに新首相を指名して暫定憲法も公布、タイの国王もこれを承認したという。

でも、タイといえば東南アジア諸国連合(ASEAN)の優等生といわれ、周辺地域の民主化をめぐってもリーダー的存在だった国。その一方、日本人が多く住み、日本の企業もたくさん進出するなど日本との関係も深いのだ。だとすると、その国でなぜこんなことが起きてしまったのだろうか。

じつは、タイのクーデターは今回がはじめてではない。そもそもクーデターとは軍部が武力で政府を倒して権力を握ることだが、タイではそれを「革命」と称し、1950年代から何度も軍がクーデターを起こしてきた。その場合、無血でおこなうのと国王の信任を得ることが条件で、かつてのタイではクーデターによる政権交代が何年かに一度の恒例行事でさえあったという。

しかし、15年前のクーデターでは市民のデモ隊と軍が衝突し、40人以上の犠牲者が出る惨事に発展――。そのため、以来軍内部でもクーデターは「タブー」となり、民主化が進められてきたはずだったのだ。

じゃあ、なぜまたクーデターが起きたのか。直接的にはタクシン首相の金権体質に国民が強く反発し、その声が軍部にも広がって実力行使に出た形なのだが、ほんとうの原因は、タイという国そのものにクーデターを「必要悪」として容認する空気があるから。国王が認め、国民が支持するからこそクーデターが起きてしまうのである。

でも、民主主義の国では政権交代は選挙によっておこなわれるのが大原則。今回の出来事によってASEANの優等生だったタイが諸外国の信用を失ったのは間違いないだろう。東アジア経済全体の問題として、また世論の怖さという意味でも、もしかしたら人ごとではないのかも!?


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