何度も戦火を交えた国同士でも出来た…

共同で歴史教科書を作成したフランスとドイツの大人な関係

2006.12.07 THU

かつて戦争を繰り返してきたフランスとドイツ。しかし、この2カ国が共通の歴史教科書を高等教育の授業で使っているのはご存じか? 両国の歴史専門家が集まり協議し、今年の5月に作成が終了。9月から使われているのだが、なぜ今、共通教科書なのか? フランス大使館員のボネル氏に聞いてみた。

「仏独の友好を確認するエリゼ条約の40周年記念のレセプションが、03年に開かれました。そこで両国政府が、若者の相互理解を深めるために共通の歴史教科書を作成することを決定したんです」

それから、わずか3年で教科書を作り終えたというのだ。かつて戦争をしていた2カ国がこうも素早く共通教科書が作れるものなのか? 『国際歴史教科書対話』の著者の近藤孝弘さんが言う。

「今回両国で使われている教科書は日本でいえば高校3年生用。第二次大戦以降の歴史を扱うものなので触れていませんが、第一次世界大戦をどちらの国が仕掛けたのかという対立がかつてはありました。しかし、ドイツ国内では、第一次大戦後のドイツに対する賠償金や領土割譲が過酷だったという声が高まったあげく、ナショナリズムが高揚しナチスを生んでしまった。その反省はドイツもしているので、今現在この対立問題を蒸し返すことは両国ともしません」

今ではお互い揚げ足を取るようなことはせずに独仏とも関係は良好だという。また日本にある両国の外国人学校もこの教科書を使った活動をしているとドイツ大使館員のゲーリック氏は言う。

「通常のカリキュラム外ですが、自主的に生徒がグループを作って研究しています。来年には東京と大阪でこの教科書に対するシンポジウムも行いたいと思っています」

犬猿の仲であった2カ国は今しっかりと歩みよっているようだ。先月のAPECでは日本が中韓両国と歴史問題について話し合うことで合意。共通教科書とはならないまでも、どこまで対話が進むのか、今後も注目だ。


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