イラクは独立したんじゃなかったの?

ブッシュ大統領が、米軍増派を強行するのはなぜ?

2007.02.15 THU


米政府は約2万人の米軍兵士をイラクへ追加投入する。その8割をバグダッドへ、残りの4000人は宗教抗争の激しい地区へ。先月発表された新イラク政策の一環だ。これでイラク駐留米軍は合計15万3500人。東京の人口でいえば台東区や武蔵野市が米軍キャンプになったような規模だ。

この兵力増強には米国内でも非難が噴出。世論調査では米国民の7割が反対している。昨年の中間選挙で共和党は惨敗したばかり。増派なんてしたらバッシングが強まることはブッシュさんも承知のはず。それにイラクでは昨年5月に正式政府が発足して、米国の民主化プロセスは完了したんじゃなかったの? なぜ今兵力増強なの?

ブッシュさんはいう――我々のイラク戦略は失敗した。イスラム教シーア派対スンニ派の宗派間抗争が激化している。その原因は兵力不足だ。増派してでも治安回復を急ぐことが最優先事項である、と。

たしかに、米国民の世論のとおりに米軍がさっさと撤退したら、イラクは内戦へと突き進むだろう。混乱を収拾してから帰るべき、という理屈はそのとおりだ。事実、新政策には、イラク国内の経済復興に使う1000億円超の援助や、クルド人も加わった石油利権の抗争を防ぐための「石油法」の制定なども盛り込まれている。

しかし一方で、「2万人とは中途半端な数だ」「米兵では一般市民と武装勢力、敵と味方を見分けられない」などと、増派の実効性を疑問視する指摘も多い。

さらに、隣国への戦火拡大の憶測もある。イランとシリアがイラクの武装勢力を支援しているとされ、米軍の増派はその支援網の寸断も目的としているからだ。加えて、米軍はペルシャ湾に空母を配備するなど海上兵力も増強している。核兵器開発疑惑を理由に敵対するイランとの間で、シリアを巻き込んだ戦争が始まる懸念があるのだ。

ブッシュさんは今回の増派が米軍の帰還を早めるのだという。そのとおりになるといいのだが…。


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