米国では謝罪を求める決議案も!

最近とりざたされる「従軍慰安婦問題」とは?

2007.04.12 THU



写真提供/AFP=時事
小泉さんから安倍さんに首相が代わって「靖国問題」が沈静化したと思ったら、今度はべつの歴史認識の問題が浮上した。その問題というのは「従軍慰安婦問題」――。なにしろ安倍さんの初訪問を前にした米国では、下院がこの問題で日本に公式な謝罪を求める決議案を提出。米メディアもこぞって安倍さんを批判するなど大騒ぎになっているのだ。

そもそも、いわゆる従軍慰安婦とは、戦争中に旧日本軍が利用した慰安所で慰安婦として従事したおもに韓国をはじめとするアジアの女性のこと。日本政府が民間基金をつくって補償する一方、韓国の元慰安婦たちが日本に謝罪と損害賠償を求める裁判を起こしたりと、もともと日韓のあいだではさまざまな経緯があった重い問題だ。

それがなぜいま米国で問題視されているのか。まずこの問題のいちばんのポイントは、慰安所の設置や慰安婦の移送に日本軍が直接かかわっていたかどうか、つまり軍による「強制連行」の有無にあった。そこで、宮沢内閣のときに事実関係を調査し、1993年夏、当時の河野洋平官房長官が日本軍の関与を公式に認めて謝罪。これが「河野談話」といわれるもので、以降、この「河野談話」が政府のスタンスとなったのである。実際、小泉さんも元慰安婦に対する謝罪・反省の気持ちを表明している。

ところが、自民党内には日本軍による強制連行の証拠はないと「河野談話」の見直しを求める人たちがたくさんいて、3月には安倍さんも「当初定義された強制性を裏付けるものはなかった」と発言。これで眠っていたはずの従軍慰安婦問題が再燃し、「人権」を重んじる米国の議会でも安倍さんへの批判の声が高まったというわけだ。

おそらくこの問題は今後もさまざまなかたちで議論されるはず。戦争責任や戦後賠償ともかかわってくるうえ、こういう問題にはいろんな考えを持った人がいるもの。たんに史実を争うのなら歴史研究者にまかせればいい話で、それでは済まないのが政治問題というものなのである。


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