仏・シラク大統領引退で考える

大統領と首相が共存する半大統領制のメリットとは?

2007.04.19 THU



写真提供/時事通信
フランスのシラク大統領が引退を表明。この4月、5月に、フランス大統領選が行われる。だが、フランスといえば、首相もいる。なのに、大統領選? 実はフランスは、アメリカのような大統領制でもないし、イギリスや日本のような議院内閣制でもない。半大統領制と呼ばれる政治体制の国なのだ。

フランスは戦後すぐに、議院内閣制をスタートさせた(第4共和国憲法)。ところが小さな政党が林立し政治がまとまらなかった。議院内閣制では、行政府である内閣は立法府である議会の信任によって存在する。議会が少数政党ばかりになると内閣の運営は難しくなる(1政党の離脱で与党があっという間に変わってしまう)。そこで登場したのが、第2次世界大戦の英雄だったシャルル・ド・ゴール氏。議院内閣制はそのままに、政治を前に進めるべく、大統領に強力な権限を持たせた(第5共和国憲法)。

フランスの大統領は首相など内閣閣僚の任免権を持ち、さらに議会解散権、条約批准権、軍を指揮する権限などを持つ。議会の解散権はないアメリカ大統領よりも、実は強い権限があるのだ。だが、同時に議院内閣制でもあるので、大統領が任命した内閣は議会からの信任も得なければならない。一方で法案拒否権など、首相の同意が必要な権限もある。議会にとっては、大統領選で国民から直接選ばれた大統領の存在は重い。リーダーシップを尊重する必要がある。政策をめぐっても、内閣をはさんで大統領と絶妙にけん制し合う。そんな独特の緊張感が生まれる政治体制ができた。

折しもアメリカでは、ブッシュ大統領が議会の意向に背いて特別権限で人事を発効したというニュースが流れた。通常の大統領制の場合は、議会との折り合いは実はけっこう難しい。半大統領制の魅力は、議会との間で適度な緊張感を保ちつつ、内閣の存在を緩衝材にも使えること。国内をまとめて欧州統合をけん引し、イラク問題でアメリカに物申せたのも、この絶妙の仕組みがあってこそ、だったのかも。


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