ふるさとは遠くにありて想うもの

自分の故郷の役に立ちたい「ふるさと納税」ってなに?

2007.06.14 THU



イラスト/ヒカリ
都市部と地方の税収格差の是正案として、創設が表明された「ふるさと納税」。これは個人住民税の1割程度を出身地などに収めることができるもの。例えば05年度の個人都道府県税および個人市町村民税は約8兆円なので、最大で約8000億円の税金が動く可能性がある。その大部分が移るとすれば、地方にとっては嬉しい話だろう。

各自治体の反応は様々。税収の少ない自治体は「教育費などは出身地の税金から出ており、卒業後に都市部にだけ納税をされるとある意味丸損」「地方出身者の心情を表す制度」「納税による自治体評価ができるようになる」など肯定的な意見が多い。

一方で、税収が減る危機感を持つ都市部の自治体は、公共サービスの受益者がその対価として居住する自治体に納税をする「受益者負担の原則」に反する矛盾や、石原都知事のような「何をもって『ふるさと』とするのか」定義への疑問、また徴税コストの増加などの問題を提起している。

慶應義塾大学で地方財政論を専攻する金子勝教授によると「地方税を故郷に納めたり自分で納税先を選んだりする税制は、世界でも類を見ない」とのこと。「地方の困窮には国が介入して格差を是正すべき。そもそも、人口が減っている自治体は出身者も減るわけですから、結局は税収も増えず格差も埋まらないのではないでしょうか」。今年、国から地方へ3兆円規模の税源移譲が行われたが、約5兆円の地方交付税減税や国庫負担金の改革で、地方自治体に余裕があるわけではない。「まずは地方交付税の削減を見直すべき」とも語る金子教授。橋本高知県知事をはじめとして、地方自治体からも同じような声が多い。

出身地への寄付扱いにして、その分を控除する案も出ているふるさと納税。10月をめどに方針を取りまとめるとのことだが、財務省が考える国の財政再建や地方自治体が考えるさらなる税源移譲など、難しいテーマが絡む問題だけに、今後も議論が予想される。


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