日本は印鑑社会ですが…

印鑑とサイン世界ではどっちが主流?

2008.04.17 THU

請求書にポン。文字を間違えたときにポン。婚姻届にポン。離婚届にポン。社会に出ると、何かと印鑑を押す機会が多くなります。

でも、印鑑っていつごろ使われ始めたのでしょうか。歴史学者で『はんこと日本人』(大巧社)の著書である門田誠一佛教大学教授にお話をうかがいました。

「印鑑は、紀元前3000年ごろのメソポタミアで発明されたといわれています。当時は文字が刻まれた円筒を回転させて、粘土などの上に押印していました」

では日本に印鑑文化が伝わってきたのは、いつ頃からなんですか?

「弥生時代に中国から伝わってきました。日本で発見された最古の印鑑は、あの『漢委奴国王』の金印です。そして奈良時代になり、公的文書に印鑑が用いられるようになります」

中世から江戸時代にかけては、武家や貴族の間で印鑑とサインの中間形態である花押が流行するものの、江戸時代に入ると、庶民の間で印鑑が普及し始めます。そして、明治6年に実印登録制度が太政官令で制定され、法的にも印鑑制度が整えられたそうです。

海外はというと、現在でも漢字文化圏では、印鑑文化が残っているそうです。一方ヨーロッパでは、かつては指輪印や封鑞など印鑑文化があったものの、15世紀頃からサインが普及し始め、19世紀ごろには印鑑文化はほぼ廃れてしまったのだとか。

「東アジア文化圏の印鑑文化は、官僚制度と密接に関係しています。官僚社会では、個人名ではなく役職・肩書きが重視されます。そのため、書面で決裁するときも役職が記された印鑑を用いたのです。それが個人の間にも普及したのでしょう。一方西欧では、役職ではなく個人の信用力がより重視されたため、サイン文化が発達したのではないでしょうか」(門田氏)

日本が肩書き社会だったからこそ、ここまで印鑑が普及してきたってことなんですね。


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