セキュリティ問題も気になりますが…

外交の最前線でインターネットはどれぐらい活用されているの?

2008.04.25 FRI


政府はもちろん、国際機関やNGOも、インターネットを使った情報交換が盛ん。しかし、首脳同士のやりとりは…今も変わらずホットラインが基本か イラスト/小沢聖
地球の反対側にある国のニュースをリアルタイムにゲットできたり、距離なんか関係なく瞬時に電子メールで連絡できたり世界を結ぶ通信網=インターネットの恩恵をフルに受けている21世紀の僕ら。

しかし、インターネットや国際電話もない時代って、通信は郵便や伝書鳩、はたまた狼煙(のろし)だったりしたんですよね(たぶん)。いずれにせよ、はるか遠くにある国の情報をスピーディーに入手するのは難しかったはず。国際間の連絡はどのように発達してきたのか? 近現代の外交史を研究している学習院大学文学部非常勤講師・鵜飼政志さんに聞いた。

「1870年代後半から万国郵便連合条約、万国電信連合条約に加盟した日本では、国内の郵便局、電話局、電報局で郵便物や電報をやりとりできるようになっていました。急送公文書を定期船の郵便箱で運ぶなど、外交関係の通信は民間と同様のものを利用することになりますが、緊急・機密のやりとりは暗号電信。外交関係の国際電信は、日本政府が国際電信業務に直接乗り出した19世紀末から20世紀にかけて整備されていきます」

20世紀に入ってからは無線電信が盛んになり、国家間でもタイムラグのない連絡が実現してきたそうだ。では、現代は? 外交文書もPDF化してメールに添付、なんて電子外交が実現しているのだろうか。35年の外交官生活で在ロシア大使館公使などを歴任した河東哲夫さん(東京財団 研究員)に解説してもらおう。

「大使館や領事館などの在外公館と外務省本省との連絡はいまだに『電報』『電信』と呼ばれますが、実際は書面ではなく、パソコン画面上で確認するようになっていますね。公式文書のやりとりは高度な暗号通信ですが、通常の連絡では電子メール、メーリングリストが普通に使われています。国際外交の場では、EU諸国の連絡でメールが盛んに使われていますし、G8サミット(主要国首脳会議)に参加する首脳の補佐役『シェルパ』も、他のG8各国のシェルパとメールで密に連絡を取って協議しているようですよ」

ITが意欲的に取り入れられる外交最前線だが、重要な文書をもっとも安全、確実に送る方法は特別に封印された外交行嚢(パウチ)に重要書類を詰め、外交伝書使(クーリエ)が運ぶというものだし、条約調印ではトップが直接会談して行うのが基本。そう、情報通信手段がいかに進化しようと、最後に効果を発揮するのは「人」なのだ。

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