3年間で2000人の“難民”を支援する

都の“ネットカフェ難民”救済事業「TOKYOチャレンジネット」の中身は?

2008.05.16 FRI


「TOKYOチャレンジネット」の相談室の様子。オープン当日の段階で、すでに59人の住所喪失者から相談予約の申し込みが殺到していた。なかには年金生活者からの相談もあったという
24時間営業のネットカフェやファストフード店に寝泊りしながら、日雇い派遣などの不安定労働に従事する人々――いわゆるネットカフェ難民が社会問題化し始めたのは、ここ数年のこと。平成19年に実施された厚生労働省の調査によると、東京都内には現在、約2000人の難民が存在すると推計されている。

生活基盤が不安定で住居を借りられない定職に就きたくても就職活動ができない不安定な仕事をするしかない(以下、無限ループ)。そんな悪循環に落ち入ってしまった人々をサポートすべく、東京都と厚労省は今年4月、ネットカフェが数多く集まる新宿・歌舞伎町に、自立支援相談窓口「TOKYOチャレンジネット」を開設した。

利用条件は、何らかの理由で住む家を失った状態にあり、かつ東京都内で直近6カ月以上生活している20歳以上の男女。総じて住居喪失不安定就労者と呼ばれる人々に、どのような支援が行われるのか。運営に携わる東京都福祉保健局の松本功氏に話を聞いてみた。

「まず相談員が現在の生活について詳しい聞き取りを行い、就労についての相談や、債務者には法律相談を紹介するなど、今後の生活設計を一緒に考えていきます。そのうえで、民間の借りやすい賃貸物件の情報を提供し、必要ならば住宅資金40万円、生活資金20万円を上限に無利子で貸し付けます」

しかし、ただお金だけあっても、それだけでは自立は難しい。

「安いアパートを借りるにも、契約時には連帯保証人や緊急連絡先などが必要になるので、それらの対応も行います。まったくのゼロから自立した生活を始めるには、誰かのサポートが必要不可欠なんです」

筆者が取材に訪れたオープン当日、早速相談に来ていた20代の男性に話を聞けた。男性はすでに7年間もネットカフェ難民生活を続けており、心身ともに限界を感じているという。

「ネットでこの事業を知って転機だと思った。今の生活は、ただ日々の暮らしをつなぐだけで精一杯で、死んでいないことが唯一の生きがい。だけど、まだあきらめたくない。ここから抜け出したら、キャリアを積んでやりたい仕事に就きたい」

「TOKYOチャレンジネット」は3年間で終了する期間限定事業だが、都内2000人分の支援予算が用意されている。格差社会といわれる昨今、出口の見えない苦難にあえぐ人々にとって、この事業はひと筋の「蜘蛛の糸」なのかもしれない。

関連キーワード

注目記事ピックアップ

 

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト