医療は心か? ビジネスか?

フリーの麻酔科医師が急増年収が一気に数倍の例も!?

2008.05.29 THU

最近、公立病院で麻酔科医師が大量退職するというニュースをよくみる。え? 手術のときに麻酔する人がいないと大変じゃん。って思ってしまうが、退職はしても麻酔科医を辞めるわけではない。特定の病院には所属せずフリーとして仕事は続けるのだ。今、全国でこのような麻酔科医が急増しているという。でもどうしてそんなことになったんだろう?

「激務からの解放というのが第一の要因でしょうね。大学病院では月の残業が平均108時間と言われています。労災認定基準で過労死との関連性が強いと言われるレベルです」と教えてくれたのは東京医科大学麻酔科学教室の医局長、小澤拓郎先生。

「そもそも麻酔科医の絶対数が足りないんです。技術の進歩で以前は困難だった手術も可能になり、ここ10年ほどで麻酔が必要な手術は4割も増えている。対して麻酔科医の数が追いついていない。加えて最近では痛みを和らげる『ペインクリニック』などの分野でも仕事が増えています」(同)

なるほど、だから自分で仕事量を管理できるフリーの立場を選ぶんだ。さらに報酬の面でも有利になると小澤先生は言う。

「公立病院の勤務医の平均年収は1300万円ほどですが、フリーの麻酔科医はその数倍を稼ぐ人もいます。一般的に医師が開業する場合、機材を揃えるなどの初期投資が必要ですが、フリーの麻酔医なら依頼元の病院に機材一式揃っているからその点でも有利ですね」(同)

しかし、患者になる我々の側からすると気になる点もある。フリー麻酔科医はビジネスを成立させるためにある程度手術の数が見込める大都市に集中しがちだ。

「実際、地方では緊急手術をやめる病院も出始めています。まずは麻酔科医全体の数を増やすこと。そうすれば病院も患者さんも医師自身も楽になりますよ」(同)

フリー麻酔科医が増え続ければそのギャラは医療財政を圧迫するかもしれない。負担は患者に降りかかることになる。この痛み、麻酔では癒やせないかも。


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