法的拘束力がない変な制度

野党の伝家の宝刀「問責決議」の意義とは?

2008.06.05 THU



写真提供/時事通信
ガソリン税とか道路特定財源とか後期高齢者医療制度とか、いろんなことがあった通常国会も6月15日で閉会する。ところで、この国会の注目ポイントとしてさんざん騒がれたのが、参議院最大会派の民主党が福田首相への「問責決議」を提出するかどうか、ということだった。けっきょく、提出は先送りにされたまま会期がほとんどなくなってしまったのだが、そもそも問責決議とはなんなのか。

この「問責決議」とは、おもに参議院で首相や大臣の政治責任を問い、辞任要求などの意図をこめておこなう決議のこと。イメージとしては、衆議院の「内閣不信任決議」を想像すればわかりやすいかもしれない。もっとも、内閣不信任案は憲法によって衆議院だけに認められている決議で、もし可決された場合、内閣は10日以内に衆院を解散するか、総辞職しなければならないが、参院の「問責決議」にはそういう規定がない。かりに可決されたとしても、首相の辞任や解散に追いこめるような法的拘束力がないのだ。

じゃあ問責決議には意味がないのかというと、そういうわけではない。「問責」とは「責任を問う」ということ。かりに首相への問責決議が可決されたら、それは議会が首相失格という意思をしめしたことになり、その後は参院での審議を拒否したりと、政権が受ける影響はけっして小さくない。実際、やはり野党が参院で過半数を確保していた1998年10月、当時の額賀防衛庁長官に対する問責決議が野党の賛成多数で戦後初めて可決。このとき、額賀長官は当初、法的拘束力がないことを理由に辞任を拒んでいたのだが、参院で野党の審議拒否が続いて国会が停滞し、約1カ月後には辞任に追いこまれてしまったのである。

とはいえ、国会議員は議会で法案を審議するのがおもな仕事。審議拒否が長引けば、逆に問責した野党が国民から「ちゃんと働け」と批判されかねない。いわば諸刃の剣という面もあり、そのへんも今回、民主党がなかなか問責決議を提出できなかった理由なのではといわれているのだ。


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