上書きする場合は、より完成度の高いものを

ガード下に描かれるグラフィティの謎に迫る!

2008.08.29 FRI


桜木町高架下のグラフィティ。現在、補修工事のために壁面を撤去中。「工事完了後もアート空間として活用できるよう検討中」(横浜市都市整備局鉄道事業課)だとか 撮影/花山十也
落書き。言葉の響きは些細なイタズラのようだが、建物・施設の所有者から許可を得ずに行えば立派な犯罪行為。日本では、刑法261条・器物損壊罪にあたる。

近年、若者を中心に流行している「グラフィティ」は、そんな落書きから誕生した現代アート。1970年代、ニューヨークの路地や地下鉄に施されたスプレーペインティングが発祥とされ、アメリカンコミックを思わせるポップな絵柄、「タグ」と呼ばれる作者名やメッセージの書き込みが特徴。なにより、壁面や橋脚など「街」をキャンバスに見立てているのが、他のアートと大きく異なる点だ。

アート表現のひとつとして認知されるようになった一方、「違法の落書き」という側面は、今も世界各国で問題視されている。そんななか、合法的にグラフィティを発表しようという「リーガルウォール」(合法的な壁)なる動きがある。これは文字通り、所有者の許可を得たうえで合法的にグラフィティを描く試みのことだ。このリーガルウォールには、「完成度の高い作品を描くことで、その後無秩序に上書きされるのを防ぐ」効果もあるのだとか。

「上書き防止策として、リーガルウォールを検討する自治体などは増えているようです。ただ、僕らの考え方とは少し異なります」とは、マイナージャンルの表現者支援に取り組むNPO法人『KOMPOSITION』代表の寺井元一さん。KOMPOSITIONでは、描く者と壁を持つ者の間に立ち、共生的なアート空間の創造を手助けしているという。

「僕らが考えるリーガルウォールは、表現者への場の提供が一番の目的。上書きの防止に繋がるというのは、あくまでも結果的なものです」

結果的なものとはいえ、完成度の高いグラフィティが描かれると「上書き」は減るものだろうか?

「横浜・桜木町の高架下を使って行われた実験的イベント『桜木町ON THE WALL』(主催は横浜市)など、我々が携わったリーガルウォールに関していえば、上書きはほとんど見られないですね。とはいえ、『上書きされないような完成度の高い絵』ということを意識しているわけではありません。重要なのは、その絵が作者の『表現』を伝えるものとなっているか」(同)

単に絵の上手い下手だけでなく、そこに作者の意志やメッセージ、つまり「作品性」を感じるからこそ、「自分の絵で上書きしてやろう」という気にさせないのかもしれない。ただし、いくら作品性の高い絵でも、無許可の壁に描けば犯罪行為となることをくれぐれもお忘れなく。

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