必要悪? それとも…

黒幕とは似て非なる「フィクサー」の仕事と役割

2008.09.04 THU



写真提供/時事通信
防衛関連企業から支払われたコンサルタント料などの所得を隠し脱税した事件。その際に逮捕された人物が報道で「防衛フィクサー」と呼ばれていた。そこでふと疑問が。そもそもフィクサーとはどういった存在なのか? 『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』などの著書で知られる作家の佐藤 優氏に聞いてみた。

「フィックスはくっつけるという意味。フィクサーはその名の通り、行政や上場企業など社会的に権威のある組織が表だって扱えない事案を、処理できる組織に紹介して両者をくっつける。ほかにも、行政の煩雑な手続きをショートカットする枠組みを作り出したりもします。これによって結果的に利益や利便を得る人間もいるのだから、ある種必要悪でしょう」

それって、俗に言う黒幕に近いイメージかと思いきや、佐藤氏は、黒幕とフィクサーは厳密に言えば異なる存在だと考える。

「黒幕とは、損得抜きで国を良くしたいなどのロマンや思い入れを持っている人物です。しかし、フィクサーにあるのは経済合理性だけ。儲かるか、儲からないかが基準です」

しかし、企業のコンプライアンスや会計の透明性が重要視される現代では黒幕やフィクサーは存在しづらい気がしますが?

「というより、市場経済を推し進める新自由主義が台頭している今の社会が原因です。フィクサーは、安定している社会で誰もがリスクをとりたがらないところで、リスクを背負い暗躍するもの。しかし、競争志向が強く、儲けたものが勝ちといった今の社会では、物事を金や力によって解決しても、ばれなければいいという雰囲気がまん延してくる。そんな世の中では一般人がフィクサー的な動きをするようになるのです」

食品偽装や株のインサイダー取引。以前ならこのような事件にはフィクサーが関わっていたという。今では一介の会社員が平然と一線を踏み越えてしまう。ある意味、フィクサーや黒幕が跋扈する社会よりも恐ろしいことなのかもしれない。


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