情報社会と法律のビミョーな関係

第6回 ネットは匿名だからコワイの?

2009.03.11 WED

情報社会と法律のビミョーな関係

インターネットでエッチな画像を楽しんでいるときなど
「ネットって本当に便利だなぁ」
とつくづく感じるのは筆者だけではないはず。

チラッと検索すればエッチな画像がいっぱい出てきて、
誰にも知られずひとりで楽しめるし。

自分がどこの誰かなんて分からないからこそ、
掲示板とかでは自由な発言もできる。

でも、どこの誰だかわからないのをいいことに
時々ものすごくカゲキな発言とかもあるよなぁ。

そもそもネットは本当に
「誰にも知られず」
ってのができるんだっけ?

買い物をするときは名前や住所や
カード番号などの登録が必要だし
「完全に誰にも知られずに」ってのはムリだ。
という至極当たり前のことに思いが至った。

そういえば我々ネットユーザーは
こっそりと楽しんでいるつもりだが
本当にそうなのか?

今回はネットと匿名性についてのお話。


いいことをしたときに「名乗るほどの者のでも…」っていうのはかっこいいけど、犯罪を犯した場合はそれでは済まない。書き込みによるマイナス面の問題が増えると、ネットの匿名性を押さえ込もうとする力が強まる可能性がある。自由でいたいのならマナーを守る。これが常識なんである。

ネットの書き込みでタイホ!? どうやって犯人をみつけるの?



ネット社会ではいちいち本名を名乗ったり、顔を見せたりしないでも生きていくことができる。これが「ネットの匿名性」というやつだ。匿名のまま思ったことを書き込んだり、はたまたエッチな画像をこっそり楽しんだりできるのでいいなぁ、と思っているのだが。

でも待てよ、そもそも僕たちはネットにつなぐためにプロバイダーと契約して、そこでは実名とか住所とか電話番号とかまで明かしているわけだよね。もしかしたら調べれば分かっちゃうものなの?

実際に掲示板などへの悪意の書き込みが原因で逮捕者も出てるし、この辺のことってどうなってるの? ITエンジニアでライターの水野貴明さんに聞いてみた。

「大雑把に言うと、犯罪になるようなことをすれば本人を突き止められてしまいますよ。つまり、匿名ではいられなくなりますよ、ということです」

それはなんとなくわかる。でも、警察はどうやって本人を特定しているのだろうか?

「インターネットを利用する場合、ユーザーの使うパソコンにはIPアドレスという住所に相当する番号が割り当てられます。この番号はインターネットに接続するために必要なもので、インターネットにつながっているコンピュータは基本的に1台1台がすべて異なる番号になります。例えば掲示板へ書き込めば、その掲示板のサーバーにはどのIPアドレスを持つパソコンから書き込まれたかがわかる仕組みです。だから違法な書き込みがあれば、その掲示板の管理者に書き込んだユーザーのIPアドレスを教えてもらうことで、どこの会社やプロバイダーからネットを利用したのかわかります」(水野氏)

ふーむ、そのIPアドレスってごまかしようがないんですか?

「『プロキシサーバー』という仕組みを利用すると見かけ上はIPアドレスを変えられますが、それでも突き止めようと思えば多くの場合はわかりますね。ボクも以前、自分のホームページを誰かに書き換えられるという攻撃を受けたことがありましたが、IPアドレスを調べたらタイからのアクセスで、結局、犯人は逮捕されましたよ」

その犯人は水野氏のHP以外にもいろんなところで悪さをしていたので、警察の動きも早かったそうだ。そのときに水野さんが警察から聞いた話によると、タイへはインターポール(国際刑事警察機構)を経由して情報開示を請求したんだとか。

でも、IPアドレスからそこまでわかっちゃうんだ。それって実はやばくない?

「IPアドレスからわかるのは、どのプロバイダーを使っているかや、場合によっては○○県市から接続しているくらいまでなんです。それにプロバイダーは、警察からの問い合わせでないかぎり、誰にどのIPアドレスを割り振ったかを公開することはありません。だから普通に生活しているぶんには他人にIPアドレスを知られても心配しなくていいんです」

へぇ~、なるほど!

でも、だからこそネット上の悪口とかイジメが発生しやすいのかも。これをやめさせるために「ネット上ではみんな実名にすべき」っていう議論もあるようだが、当然ながら反対意見も多い。

お隣韓国では、インターネット上での個人攻撃や中傷で一般市民から芸能人まで自殺者が出るなどの事例が相次いだことを受け、掲示板に書き込んだ人物を特定できる「制限的本人確認制」(インターネット実名制)を導入した。が、実際にはネット上での誹謗中傷や違法行為は減っていないという。

ある程度の匿名性が保たれているからこそ、ネット社会はここまで発展してきたのだと思う。もしこの文化が完全否定され、匿名性がなんらかの形でなくなってしまうと、ものすごく住みにくい社会になってしまう。逆に匿名性ばかりを重視するとしても、現実として匿名での中傷によって傷ついている人もいる。ほどよいバランスのとれた社会が理想なんだけど、まだまだ課題は多い。

人間は火を使い始めて何十万年もたつのに、いまだに火事を出したりヤケドしたりする。ネットの歴史はまだ数年だ。使い方を皆で学んでいくのはこれからなんだろう。
アドレスの頭につく“www”っていうのは、「World Wide Web」のこと。世界はワールドワイドなweb(クモの巣)で包まれているのだ。ネットにつなげば誰もがクモの巣の住人なんである。だからみんな仲良くね!

「匿名」だからおきやすい!? ネットでの誹謗中傷にはどう対処すればいいの?



ネットの世界では、ちょっとした記述が第三者の怒りを買ってしまい、それが原因でいろんなところで悪口を書きまくられるみたいなことが起こりがちだ。

ガマンできる程度ならいいのだけど、相手の顔が見えないというネットの特性か、書き込みはどんどんエスカレートしちゃう場合がある。そんなとき、ぼくらはどうすればいいの? 
それこそ法律でなんとかできないものなのか、弁護士の鎌田真理雄氏に泣きついてみた!

「書き込みの内容にもよりますけど、大きく分けて対処方法は4つあると思います。民事訴訟、刑事訴訟、それに悪口を削除させる方向で働きかけを行うという選択肢と対応を行わないという選択肢があると思います」

民事と刑事はなんとなくわかるとして、「働きかけ」や「対応を行わない」というのが気になる。

「例えばどこかに悪口を書かれたとして、その悪口の内容や書き込まれている場所によっては、事実か否か等にかかわらず、むやみに反応してしまうことでさらに事態を悪化させるということがあります。そういう場合には、静観する方がよい場合も考えられますよね」

なるほど、事実無根の書き込みに過剰反応したら「そんなに反応するってことは、実はこの書き込みって事実なんじゃない?」みたいなマイナスの憶測を呼ぶことがあるってことか。

「また、削除が目的なら、書き込んだ本人の特定までは必要ない場合が多く、書き込まれた掲示板やウェブサイトを管理するプロバイダーなどに働きかけることになります」

いわゆる「プロバイダー責任制限法」という法律にもとづく手段だそうだ。

「プロバイダーが運営するウェブサイトに他人を中傷するような書き込みがあった場合、名誉毀損等の違法行為をしたのが管理者ではなくても、一定の要件を満たせばプロバイダーはその書き込みを削除しても、書き込みをした人に対して責任を負いません。逆に、プロバイダーが明らかに違法な書込を放置し続けた場合、被害者に対して不法行為に基づく損害賠償責任を負う場合もあります」

なるほど。じゃあ、被害者側は具体的にどうすればいいのだろう?

「基本はログの保存ですね。書き込みの内容を日付が残るような形でプリントアウトしたり、プリントスクリーン機能で画面ごと保存するのも有効です。とにかく書き込みの日付ごとに整理しておくことです」

それ以前に、誹謗中傷に釣られて、悪口を書き返さないことも大切だとのこと。「ケンカ両成敗」の言葉通り、ネット上で反論したことで「ケンカ」と見なされてしまうと相手の非を追及しにくくなるのだそうだ。

「刑事事件として裁きたいのであれば、どういった罪名になるのかを検討します。名誉毀損なのか業務妨害なのか脅迫なのか、とかですね。で、被害状況や、関連しそうな事実関係もまとめたうえで、警察に相談に行く方がスムーズに話が運びやすいのです」

ものすごく高いコミュニケーション能力があれば、書き込まれた誹謗中傷に対して適切なコメントを出し、攻撃の手を和らげるように持って行くこともできなくはないのだろうが、やっぱり僕ら素人には難しい。実際に被害を受けたら、問題が大きくなる前に弁護しなり、警察なりに相談するのが正解だろう。

インタビューの終わりに鎌田氏は「いずれにせよ、インターネットにおいて完全なる匿名など存在していません。そのこと自体の教育・啓蒙が重要ですよね」とおっしゃっていた。

匿名だから悪口が言いやすいと匿名だから自由な発言がしやすいは表裏一体の関係だ。どちらを選ぶかは、ユーザー個々人の良心に頼らざるを得ないのが現状というわけだ。 R25世代の読者よりもちょっと上の筆者の場合、
思春期のころ、本屋さんでエッチな雑誌をよく買っていた。
大人になった今では、ネットでエッチな画像を買っている。

本屋さんで買い物をする場合は
現金なら自分の名前とか住所は必要はないけど、
ネットで買い物をする場合は
名前とかクレジットカードの情報とかを伝えなきゃいけない。

何が違うの?
もちろん、対面であるかどうかだ。

人は顔を見せ合うからこそ信頼関係を構築できると
これまではみんなが思い込んできたところがある。

でも、顔しか知らない隣の家の住人よりも
ネットでの付き合いが深い人の方が信頼にあたいする、
みたいな人が増えてきている。

たとえハンドルネームしか知らない人であっても
これまで信頼に値する言動をしてきたならば
実名を知らなかったとしても信頼できる。

そうなったとき、社会ってどうなっていくんでしょうね?
みなさん、もちろん匿名でいいのでご意見まってまーす。

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