発行したらどうなっちゃうの?

景気対策の切り札か禁じ手か?「政府紙幣」に異論反論のワケ

2009.03.19 THU

「景気対策の財源として政府紙幣を発行すべきだ」という声が最近あちこちから上がっている。先日も自民党有志の議員連盟が政府紙幣の発行などを麻生さんに提言。これを受けて麻生さんも検討する姿勢をみせているという。

この「政府紙幣」とは、中央銀行である日本銀行ではなく政府が直接発行する紙幣のこと。一万円や千円札などの紙幣は「日本銀行券」といって、その名前のとおり、日銀が発行している。一方、10円や100円玉などのコインは政府の発行。それと同じように、紙幣も日銀ではなく政府が発行してしまおうというわけで、その狙いはおもにふたつ。ひとつは、日本国内に出回る通貨量を増やすことでデフレを緩和すること。もうひとつは、国債の新規発行をせずに(国の借金を増やさずに)景気対策の財源にできること。国の借金はすでに800兆円以上もあり、従来のように国債の発行を景気対策の財源にしていたら国の財政が破たんするかもしれない。そこで政府自身が紙幣を発行し、借金を増やさずに減税などの景気対策に活用しようということらしいのだ。

なんだかできすぎた話だが、もちろん政府紙幣にも問題があったりする。まず、政府がやたらと紙幣を発行すれば通貨が信用を失ってハイパーインフレを招く可能性がある。政府紙幣は過去に何度か発行されているが、明治維新直後の「太政官札」はやはりインフレを招いたため、その後、流通が禁止されたというのが定説なのだ。また、ATMや自販機などインフラの対応もあるし、何十兆円もの紙幣をどうやって偏りなく流通させるのかというのもむずかしい問題。なにより、貨幣法や日銀法をはじめ、政府紙幣の導入にはかなりの法改正が必要なのである。

もともと政府紙幣の発行は、デフレ不況下の2000年前後から一部の経済学者が提言していたものの、実現しなかったという経緯がある。それが最近の経済危機で論議が再燃したわけだが、いい悪いはべつとして、インパクトの強い話はそのぶんハードルも高かったりするのである。


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