保険証、年金手帳etc.が1枚に

2011年から導入予定「社会保障カード」賛否両論

2009.06.11 THU



写真提供/APImages
「社会保障カード」というものが2011年から導入されるらしい。この社会保障カードとは、健康保険証、年金手帳、介護保険証の3つを1つにまとめたICチップ付きのカード。たとえば、カードを自宅のパソコンのカードリーダーで読み込んでアクセスすると、病院での治療内容や治療費、健康診断結果をみることができる。年金の納付記録もわかるし、引っ越したり転職しても保険証の変更手続きがいらなくなる。ようは個人情報の管理や行政サービスの手続きが簡単になるわけで、政府はこのカードを今年中に複数の市町村で試験的に導入し、11年から本格的にスタートさせる予定なのだという。

ところが、一見便利になりそうなのに、カードの導入には賛否両論があったりする。まず個人情報漏えいの問題。じつはこのカード、当初は国民ひとりひとりに「社会保障番号」をつけて個人情報を管理する構想だった。でもそうなると、情報が漏れたときに病歴を含めたプライバシーが一挙に流出してしまう。そこで社会保障番号の導入は見送られたのだが、年金・医療・介護の各番号をそのまま使うことになったためにシステムが複雑になり、こんどはすごくお金がかかってしまいそうなのだ。しかも、2年後から導入する予定なのに、政府は「カードの仕様など未定のものが多く、(予算を)試算できない」とかいって批判されたりしている。

もともとこの構想は、約2年前、年金記録問題への対応に追われていた当時の安倍首相が突然言い出したものだった。2年前といえば07年夏の参院選の直前。つまり、選挙対策として場当たり的に打ち出した政策との見方もできるのである。ただし、「行政のIT化」は手続きが簡単になるうえ行政コストの削減につながるし、いい悪いはべつとして、個人情報の一元的管理はほかの主要国もすでにやっていること。でも日本の場合、「住基ネット」が定着していないように、行政による個人情報の扱いには国民みんなに不信感があり、こういう構想はなかなかうまくいかないのだ。


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