村おこしの経済学

第4回 萌えるお米で売上アップ!

2009.07.17 FRI

村おこしの経済学


秋田米氏のイラストをあしらった萌え米を販売する「萌え米.com」。二番煎じと誤解されることも多いようだが、実際には話題を集めたJAうごが手掛けた“美少女イラスト米”以前から運営している

「アキバで米を売ろう!」秋田発・萌え米誕生秘話



パッケージに美少女イラストをあしらった精米が登場し、大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。秋田県羽後町の「JAうご」が仕掛けたこのお米は、イラストの効果で従来の購買層とは異なる全国の若者からオーダーが殺到、前年の2倍以上の売れ行きを記録したというからスゴイ。こうしたアイデアで、地域の産物が大きく注目されたり売れ行きを伸ばしたりするのは、村おこしの事例として非常に興味深い。そこで、萌え米販売の先駆けである「萌え米.com」(秋田県能代市)の運営者・佐藤氏に、そもそもの着想を聞いてみた。

「発端は、友人3人で集まって『(本業以外に)何か商売ができないか?』と雑談していたところ、『じゃ、米でも売ってみよう』という話になったのがキッカケでした。しかし、米の価格が下がって農家が苦しんでいることは耳にしていましたので、普通にやっても儲からないのは明白。どうせやるなら誰もやっていない売り方をしたいという発想から、『秋葉原で米を売ろう!』と考えたんです」(佐藤氏)

集った3人の中に、萌えキャラタッチの得意なイラストレーター・秋田米さんと交流のある人材がいた縁から、「萌え米」という発想には自然に行き着いたという。佐藤氏らはさっそく、秋田米さんの描いたキャラをパッケージ化。さらにサイト上では同氏の手による4コマ漫画を掲載するなど、精米販売サイトでありながら徹底した萌え路線を敷き、アキバ系ファンを中心に高い支持を得ることとなった。

佐藤氏は昨今の萌え米人気を、「オタク文化の底力でしょう」と分析する。

「もともと中身のあきたこまちには、味にも品質にも自信がありますから、こうした付加価値を付けることでまだまだ売れ行きは伸びると思います。購買層には意外と女性も多く、誕生日プレゼントなどのギフト利用も目立ちます。商品は秋葉原の『メイド倶楽部』や『ゲーマーズ』でも販売していますので、オタク文化との融合で、普段お米を買わない層にご購入いただく機会になればうれしいですね」(同)

ちなみに「萌え米.com」では、製品に漏れなく「萌え米ハンドブック」を同梱したり、5000円以上の購入で「萌え米ステッカー」をプレゼントしたりと、ファンサービスも充実している。

「これはお米に限りませんが、売れないからって愚痴るばかりでなく、どうしたら売れるのかを考えていかねばならないと思います。やってみてダメだったらまた別のアイデアを考えればいいし、勢いで実行してみることも大切。弊社も萌え米をもっと売って、次のグッズを作る予算を捻出したいですね」(同)

米農家の経営難が叫ばれる昨今。アイデアと行動力で局面を打開しようというスピリットは、不況の時代だからこそ、ぜひ見習わなければ!
かも有機米が運営するウェブショップ『越後農園』。イケメン武将米の米袋では、「愛」の文字をあしらった兜が心憎い、直江兼続の姿が…。10kg、5kgのパッケージのほか、お土産などにも便利な450gパッケージもある

新たな萌え米!イケメン武将米が登場



美少女キャラをパッケージにあしらった「萌え米」が、大反響を巻き起こしたことはよく知られているが、今度はなんと、イケメン戦国武将のイラストをパッケージに採用した「イケメン米」が登場した。かも有機米(新潟県加茂市)が4月下旬から販売をスタートしたこの商品、正式な商品名を『新潟県産こしひかり~直江兼続パッケージ~』という。仕掛け人である同社の石附拓真さんに聞いてみた。

「私自身がもともとアニメ好きだったこともあり、JAうごさんが萌え米で話題になった時から、自分も何かユニークな商品で勝負したいと思っていたんです。新潟県は実は、高橋留美子さんや和月伸宏さんなど、著名な漫画家さんを多く輩出している地域。ちょうど、大河ドラマ『天地人』で直江兼続が盛り上がっていましたから、歴女の方に受けるのではないかと企画したものです」(石附さん)

直江兼続といえば智勇兼備の武将として知られ、兜には「愛」の文字をあしらった、なんだかロマンチックな人物。これは確かに、歴女にとっては最高のご馳走かも!? 実際、販売開始以降、快調なペースで売れている。

「売れ行きは通常のコシヒカリの8~10倍ほどのペース。メインはネット通販で、自社サイトや『Yahoo!ショッピング』など4つのサイトで取り扱っています。このほか全国の『アニメイト』での販売も行なっており、初回の発注から数千個のオーダーを受け、その後も順調に追加発注が続いています。さらに今夏からは、米ロサンゼルスのスーパーマーケットでも販売を開始する予定です」(同)

うーん、直江兼続米おそるべし。なお、選定に苦労したというパッケージの原画は、やはり新潟県出身の漫画家、久織ちまきさんの手によるもの。「人材面でも地産地消を意識しました(笑)」と石附さんは笑う。

「新米の時期(9月下旬)には、また何か違うパッケージ商品を企画して、新たな萌えを開拓したいですね。たとえば鉄道の写真を使った米袋など、新潟県の特色も表現しやすくていいかもしれません」

萌え米のバリエーションはまだまだ広がっていきそうだ。 お米はあくまで食材ですから、近所のスーパーなどで必要に応じて購入するのが本来のカタチ。

しかしパッケージの工夫次第で、趣味のコレクト品に化けてしまう――。こうしたアイデアは、食材以外のジャンルでも売上アップの良いヒントになりそうですね。

とはいえ、単なる話題性だけでなく、商品やサービスの質がしっかりともなっていなければ成功しないことは言うまでもありません。萌え米購入者の中には、「趣味で購入したら、味を親が気に入った」とリピーターになるケースも少なくないそうです。萌えキャラはあくまで、あきたこまちの美味しさを世に知らしめるキッカケのひとつ。

さて、本連載ではまだまだ全国のユニークな村おこし情報を大募集! 気になる地域イベント、不思議な特産品。地域振興に関する情報、なんでもお待ちしております。

取材協力・関連リンク

関連キーワード

注目記事ピックアップ

編集部ピックアップPR

ブレイクフォト