エコと経済のビミョーな関係

第9回 預貯金のエコな運用ってできますか?

2009.07.21 TUE

エコと経済のビミョーな関係


金融機関に預けたお金は、できれば、環境に力を入れている企業や団体、自然保護活動などに使ってほしいと思う筆者。自分のお金がどんなふうに使われているのか、ぜひとも知りたいところ。

とんでもない使われ方の可能性もあり!?金融機関に預けたお金の行方



銀行や郵便局に預けた預貯金。筆者の場合、口座に入金したあとはほぼ放置状態ですが、みなさんはどうですか?

このお金、引き出したい時に必要なだけ引き出すことができるわけですが、まさかそれまでただ金庫に眠っているわけじゃないですよね? 預けたお金って、その間、いったいどうなっているんでしょう? ファイナンスクリニック代表の藪本亜里さんにお話を伺いました。

「私たちのお金は、預け先である金融機関が利益を得るために企業や国に貸し出されています。具体的には、企業への投融資や国債の購入などです」

企業は私たちのお金を活用して経営しているわけですか。一方の国債って、国が政策を実施するのに必要なお金を借りる際の借用書みたいなものですよね? 私たちが預けたお金を元手に金融機関が国債を買えば、結果的に私たちのお金が医療や社会福祉、環境対策といった暮らしを支える政策に貢献しているという見方もできるはず。つまり、私たちの預貯金は経済活動や生活向上に役立てられているってことですよね?

「残念ながら、なかには好ましくない使われ方をしているケースもあります。例えば、リスクの高い企業への投資に過剰に振り向けられたり、発行した国債で調達した資金をもとに政府がODA(政府開発援助)を行う際、当初の援助目的は善意であっても、ダムや道路建設などの公共事業により著しい環境破壊を引き起こしてしまうようなこともあります。また受け取り先の政府が軍事政権で、少数民族の弾圧に資金が使われてしまったりすることも、ままあるといえるでしょう」

結果論とはいえ、自分のお金が暴力や環境破壊に使われている可能性があるなんて、ちょっとショック。自分の銀行や郵便局がどこに投融資しているか、知ることってできるんですか?

「本来は知りたいところですよね。しかし、金融機関は信用で成り立っている機関ですから、投融資先を開示するということは、同時に、貸し倒れなどの負債やその可能性もすべて公にすることになります。また、どこにどれだけの金利で貸し出しているかを公表するとなると、借りている企業や団体の機密情報を公表してしまうことにもなってしまいます。それは、あなたの口座に今いくら預貯金があって、どのくらいのローンを組んで毎月返済しているか、といった顧客情報を公表するのと同じようなものですから」

わわわっ、そんなことされたら困ります。でも、預けたお金が思わぬ使われ方をしている可能性があるにもかかわらず、それを知ることができないなんて。

「私たちは、銀行や郵便局を、高い利率を求めないかわりにマイナスになる可能性もない第2のお財布として、無条件に安心だ信頼できると思ってしまいがちです。もちろん、きちんと審査したうえで運用をしているはずなので大丈夫だと思いますが、時には預けたお金がどうなっているのか考えてみたり、もっと地域に還元される事業や環境保護につながる物事に使ってほしいなど、自分がどういうふうに資金を運用したいのか、さらにいえば何にどう使いたいのか、きちんとお金と向き合ってみることが大切かもしれません」

まずは、お金を預けている私たち自身が、「このお金って何に使われているんだろう?」と関心を持つことも必要なのかもしれないですね。
2007年3月に、企業の協賛と市民の住民参加型市場公募債で横浜港に建設された風力発電「ハマウィング」。5年満期で募集した公募債の利率は1.18%! 今どき定期預貯金でもこんなに高い利率はめったにない。これは環境面だけでなく投資として見てもかなりお得といえそうだ。

資金運用は生き方を映す鏡!?人生を豊かにするお金の使い方を模索しよう



何の疑問も感じることなく預けている私たちの預貯金。金融機関の投融資によって、紛争や環境破壊など、巡り巡って思わぬところで使われている可能性もあるようです。少しでも環境問題に貢献できる運用をしたいと思ったら、どうすればいいんでしょう? ファイナンスクリニック代表の藪本亜里さんに伺いました。

「預貯金とは性質が違いますが、環境問題に熱心な企業を自分で調べて応援する株式投資や、プロの目に任せた投資信託(ファンド)などがあります。私は投資を勧める立場ではありませんが、ファンドの中には、環境活動等に力を入れている企業を対象に投資するエコファンドなども多く出ているので探してみるといいかもしれません」

調べてみたところ、1999年8月に日興證券が日本で初めてのエコファンド「日興エコファンド」を売り出してブームになり、当時のエコファンドの純資産総額は2000億円という規模に。リーマンショック以降、他のファンド同様落ち込んで現在は600億円程度ですが、それまでは右肩上がりで増加。エコファンドの件数そのものは今も順調に増え続けています。背景にはやはり、「環境問題に積極的に取り組む企業の価値は今後高まっていく」という市場の認識があるようです。

「しかし、エコファンドだから安心といって、むやみに飛びつくのは危険といえるでしょう。環境活動などいいことをしている企業だからリスクはないかというと、そんなことはありません。他のファンドと同じように元本割れなどのリスクがあるので気をつけてください。特に、海外への投資は為替差損が発生する場合もありますし、ハリケーンが起こって太陽光パネルが破損したり、紛争が起こったり、政権が代わって制度が変わってしまうというような可能性も考えられます。ただ、環境問題は人を育てることと同じで長い目で見る必要があります。リターンなど結果をすぐに求めず見守る姿勢も大切です」

投資にリスクはつきもの。それなりのリスクも覚悟しつつ、あたたかく見守って応援するなんだか気の長い話です。

「投資によって金銭的リターンを得られればすばらしいことです。でも、たとえリターンは少なくても、自分が本当は何をしたいのか、何に豊かさを求めているのかを知り、お金の使い方そのものが自分を表現するひとつの手段なんだと思えば、腑に落ち、納得もいくのでは? 地元での投融資ならそれもしやすいと思います。風車の設置・運営や天然酵母のパン屋さんなど、自分たちが欲しいと思う事業をNPOバンクという小規模な非営利バンクを通して応援している例がたくさんあります。今日も風車がよく回っているなとか、安心安全な焼きたてパンが近所で毎日食べられてうれしいなとか、出資や投資による幸福感を実感できる距離であることがポイントです」

お金の地産地消ですね。NPOバンクは現在日本に10カ所以上あるようで、音楽プロデューサーの小林武史さんとMr.Childrenの櫻井和寿さん、坂本龍一さんが設立した「ap bank」などは知っている人も多いはず。2003年の設立から今年2月までに、自然エネルギーをはじめ環境に関する全国85件のプロジェクトに融資をしています。

「これまで私たちは、選択肢が多いことが豊かさだと思ってきましたが、これからはまず自分ありき。自分はどう生きたいか、自分は何を望んでいるのかを知って、そこにお金を投融資するという考え方が少しずつ広がってきているのかもしれませんね」

資産運用は自分の生き方に通ずる。う~ん、深い! 深いです! 環境とビジネスが
切っても切れない間柄になりつつある今。
環境活動に積極的な企業や団体が
堅実な成長を遂げる可能性は大です。


となれば、資産の一部を
エコ運用するというのも十分あり得る選択。
うまくいけばリターンだって期待できちゃうかもしれません!


とにもかくにも、まずは資金。稼がねば!


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