エコと経済のビミョーな関係

第10回 「リサイクル」の真実

2009.08.04 TUE

エコと経済のビミョーな関係


平田さんいわく、効率的なリサイクルのためには、私たち消費者の意識改革も大切とのこと。欧米ではペットボトルからペットボトルへのリサイクルが進んでいるが、日本では行われていません。ほとんどが違う用途のものになっています。私たちが「リサイクルペットボトルでもOK!」という意思表示をすれば、日本でも少しずつ“ボトルtoボトル”のリサイクルが増えていくかも?

リサイクルにもバランスが必要!?理想のプラスチックリサイクルとは?



飲み物を手軽に持ち運べる、軽くて丈夫なペットボトル。飲料業界だけでなく私たちも日々お世話になっています。で、分別回収はかなり定着しているんじゃないかと思うんですが、その後のリサイクルって実際のところどうなっているのかよくわかりません。プラスチックリサイクルに詳しい、環境プランナーERでエコシス・コンサルティング株式会社代表取締役の平田耕一さんにお話を伺いました。

「ペットボトルやプラスチックのリサイクル方法には、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルの3つがあります。環境負荷に応じて優先順位も決まっていて、まずはペットボトルからフリースやたまごパックなど、素材そのものを使うマテリアルリサイクルが優先されます。次に、熱分解や化学分解をして石油の段階まで戻すケミカルリサイクル。ただしこれには大規模な設備と膨大なエネルギーが必要です。最後はサーマルリサイクルで、石油や石炭の代替熱源として燃やすというのものです」

燃やしてしまったらそこで終わりですよね? それでもリサイクルっていうんですか?

「純粋にはリサイクルではありません。だから欧米ではリサイクルとはいわず、サーマルリカバリーと呼んでいます。ひどく汚れていたり、他のものとの分別が大変なプラスチックは、無理に素材としてリサイクルせず、エネルギーとして有効活用しようということですね」

細かく分別することは、段階に応じたリサイクルのために必要ってことなんですね。

「そうあって欲しいのですが、残念ながら、せっかく分別回収したものがすべて一緒に焼却されてしまっている例もあります。リサイクルする側も、どうすればいいかよくわかっていないというのが実情ではないでしょうか」

ただでさえ分別って面倒です。いっそのことリサイクルをやめてしまうというのはどうでしょう?

「リサイクルをやめると、自然界から常に資源を調達し続けなければならなくなります。地球にはもともと復元力があるので、多少汚染されても、自然が破壊されても、自らの力で回復し、バランスを保てるのです。これを最近は生態系サービスなんていう言い方をしています。ところが、1990年代前半から復元力を超える大量消費のため、バランスが崩れてしまったままで環境破壊が止まらなくなってしまいました。このバランスを戻すためにも、新たな資源を発掘しないで済むリサイクルは、人間が実行可能なうえに、復元力も回復させる活動だといえます」

じゃ、さっきと逆で、サーマルリサイクルはやめて、全部マテリアルやケミカルリサイクルにする方がいいということでしょうか?

「なんでもリサイクルすればいいかというと、そうではありません。マテリアルやケミカルリサイクルは、プラスチックやペットボトルを洗浄し、薬品等を使った幾重にもわたる工程を経なければならず、少なからず環境負荷が発生します。それだけの負荷と費用をかけるに値しないものは潔くサーマルリサイクルをするという選択も必要です。ここでもバランスが大事だということです」

なるほど。受益と負担のバランス感覚が大事ってことですね。ともあれ、私たちは引き続き分別を頑張ると。便利さを享受している分、分別の手間くらいは惜しまないようにしないとね。
リサイクルの地産地消を進めるには、分別が欠かせない。ペットボトル本体とキャップは松。ラベルは竹。紙ラベルがはがれないものは梅。そんなふうに考えながらだと、分別も苦じゃなくなるかも!?

モノと技術に「松竹梅」でランク付け!リサイクルも地産地消で考えよう!



大量生産、大量消費、大量廃棄のいまの世の中。ムダをなくして資源を大切にしようという動きは出ているものの、依然ごみは大量に発生しています。もっとリサイクルしてごみを激減させることってできないんでしょうかね? 環境プランナーERでエコシス・コンサルティング株式会社代表取締役の平田耕一さんにお話を伺いました。

「リサイクルの効率を上げるには、ごみを品質で松竹梅のランクに分けて、それぞれに合った処理方法をとることが必要です。また、あわせてごみの処理技術にも同じくランク付けをして効率的な地域別の役割分担が大事です。企業はすでに、原料調達から生産・販売に関してCO2削減など環境負荷軽減にかなりの努力をしています。しかし、リサイクルに関しては画一的に行われているのが現状で、企業自身、よくわかっていないことが多い。ここにビジネスチャンスという宝の山があります。自社が関連するごみをリサイクルして使える製品かどうか分別度合いや汚れで松竹梅のランクに分けて、それぞれ効率的なリサイクル先の、こちらもランク付けした技術をもった工場施設へと持ち込むのです」

具体的にはどういうことでしょう?

「ペットボトルなら、キャップは車のバンパーや家電の筐体など良質のプラスチックに、ボトル本体はフリースやネクタイなどの繊維になります。もっと前の段階、石油にまで戻してしまえば、それこそ何にでも使えるメリットがあります。ただ、そこまでの工場施設になると設備投資に数百億円とかかるので、全国どこへでもつくるわけにはいきません。そこで、近隣にたくさんある身近な技術の施設できちんとキャップ、本体、ラベルを分別し、洗浄して一次処理をして、キャップと本体を中くらいの技術の施設へ、ラベルは燃料としてもっとたくさんある施設で焼却するなど、リサイクルの地産地消ですね。モノの松竹梅と処理工場の技術ランクの松竹梅を組み合わせて、適材適所にマネジメントして、効率的・段階的に地域別で役割分担する考え方です」

私たちが日々やっているように、企業も分別してそれに合った処理方法をとればムダが減るってことですか。

「さらに、分別をしやすくしたり、資源としてより循環しやすくするために、企業は製品づくりの段階から努力することも必要でしょう。例えば、ごみが減って環境にやさしいといわれている詰め替え製品は、アルミやプラなどを重ねた多層フィルムでできていて、とてもリサイクルしにくいんです。最初に1回だけ買う、硬い本体のブロー成型ボトルはペットボトルキャップと同じ成分で、逆にリサイクルしやすい良質素材です。回収とリサイクルがきちんとできるのであれば、ごみ減量に関してはブロー成型ボトルの方が優秀といえます」

なんでブロー成型ボトルだけにしないんでしょう?

「ボトルのままだと回収がかさばって大変なのと、リサイクル法によって、メーカーは容器包装の重さに応じたリサイクル処理費を負担しなければなりません。詰め替え用の容器包装なら軽いのでその分のコストがかからないというカラクリもあり、いまの商品設計になっているわけです」

へー、知りませんでした。じゃ、ブロー成型ボトルばっかりにしたら企業は大変ですね。環境対策を強化するとつぶれちゃう、なんてことになりそうです。

「いえ、先ほどのモノの松竹梅と処理技術の松竹梅をうまく地域別にマネジメントしていけば、詰め替え用よりブロー成型ボトルの方が、低コストで回せる時代がくるかもしれません。うまくマネジメントをしたうえでリサイクルを強化することは、企業のコストはもちろん、リスクを軽減することにもつながるんですよ。最近の傾向として、欧州をはじめ全世界的に化学物質をきちんと管理しようという動きが出てきています。製品原料にどういう添加剤が使われているのか明確にしたり、家電で鉛を使わないはんだを活用するなどです。仕入れた原料がバージン材なら化学物質管理も簡単にできますが、リサイクル材を使った途端に有害物質管理が不明瞭になったという例もあるのです。これを逆手にとって、使用済み自社製品を積極的に回収してリサイクルするようにすれば、有害物質の混入などを防ぐことができるわけです。価格は少々高くなるかもしれませんが、胸を張れるエコ商品として消費者にも取り組みをアピールすることができますよね」

なんでもかんでもリサイクルってことじゃなくて、それぞれに合った方法を選ぶ。そのために選別しやすい製品をつくって、きちんと回収して循環させる。根本的な話だけど、実際なかなかうまくいっていないものなんですね。宝の山が眠る穴場業界「リサイクル」。今後どんなふうに発展していくのか、かなり興味深いところです! 分別・回収後、どんなことが繰り広げられているのか
わかりづらいリサイクル業界。
実際のところ現場も混乱しているようです。

その原因のひとつに、
回収ルートやシステムの未構築があります。

見方を変えれば、まだまだ発展途上。
ということは、ビジネスチャンスもいっぱい!?
各方面のリサイクルビジネスがきちんと軌道に乗れば
資源循環もちゃんとできるようになるんじゃないかな~
なんて思いました。

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